“推し活”ギャラリーが増加中!? 超有名選手がいなくても活況の女子ゴルフ2部ツアー

北村収

選手との距離が近く、“推し活”ができるのがギャラリーにとって大きな魅力

笑顔でギャラリーにサインをする吉本ここね 【写真:北村収】

 ステップ・アップ・ツアーの会場で観戦の魅力を聞くと、多くのギャラリーが「将来のスターを見つけるのが楽しい」と口を揃える。ステップ・アップ・ツアーの出場選手には、20代前半や10代の若い選手が非常に多く、前述した櫻井心那のように、次々と新しいスターが生まれているのだ。

 最近は“推し活”が流行っていると言われる。好きなアイドルやキャラクターなどを“推し”と呼ぶが、その“推し”をさまざまな形で応援する活動が“推し活”だ。

 JLPGAツアーでは超人気選手や上位の組にギャラリーが集まる傾向があるのに対し、ステップ・アップ・ツアーで様々な組に分散する傾向が見られる。それはギャラリーの一人ひとりに異なる“推し”選手がいるからだと推定できる。

 また、初日、2日目の予選カット前でも比較的多くのギャラリーが入ることがある。これも出場選手が多い予選カット前の方が、“推し活”をしたいギャラリーが集まりやすいのだと推定できる。

 また、ホールアウト後、ギャラリーのサインリクエストに気軽に応じる選手が多い点も、ステップ・アップ・ツアーの魅力。JLPGAツアーでももちろん選手はギャラリーサービスを積極的に行っているが、ギャラリー数が多く人気選手にはギャラリーが殺到してしまうため、すべてのファンに対応することができないことが多い。

 有名選手があまりいないステップ・アップ・ツアーでは、ギャラリーが長蛇の列をつくることもなく、選手たちとも軽い会話を交わしているファンも少なくない。「選手との距離が近い」こともステップ・アップ・ツアーの魅力なのだ。

 そして現場に行くと感じるのが、選手たちもサインに応じるだけでなく、「ありがとうございます」と現地に来てくれたギャラリーに感謝の気持ちを伝えていること。この1人ひとりの選手が行っている地道な活動が、ファン獲得に繋がっている。

ギャラリープラザなども充実

「静ヒルズレディース森ビルカップ」のギャラリープラザに出店していたキッチンカー 【写真:北村収】

 もう一つ重要な要素が、ギャラリーの受け入れ体制がしっかりしていることだ。駐車場、トイレなどはもちろん、観戦の合間にとる食事の場所などもしっかりと確保している。

 10月下旬に茨城県の静ヒルズカントリークラブで開催された「静ヒルズレディース森ビルカップ」では広々としたギャラリープラザに、大きなテントを設置。椅子も数多く用意されており、多くのギャラリーが観戦の合間に寛いでいた。さらに、地元で人気のキッチンカーが4店舗出店。初めてトーナメント観戦に来たギャラリーは、「食事も美味しくて、ゆったりとくつろげるスペースもあって、また来たいです」と大満足だった。

観戦料金が安く、中には無料で観戦できる試合も

 観戦料金の安さも魅力だ。先ほど紹介した「静ヒルズレディース森ビルカップ」での入場料は2,200円(税込)。駐車場はゴルフ場から少し離れた場所のギャラリー駐車場となるが、無料で利用できる。他の試合の料金をチェックすると1,000円から2,000円のところが多く、中には入場無料のトーナメントもある。

 この料金で1日ゴルフ場でのトーナメント観戦を楽しめる。ギャラリーの中には観戦だけでなく、ギャラリープラザでゆっくりと会話を楽しんでいる方もいる。天気が良ければ秋のゴルフ場の開放感は、本当に気持ちが良い。ゴルフのファンはもちろん、ゴルフしない方にも魅力満載でリーズナブルに楽しめるのだ。

 今年のステップ・アップ・ツアーは残り3試合。お近くで開催されるときはぜひチェックしてみてほしい。

2/2ページ

著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント