連載:来春のセンバツ切符を掴むのは? 秋季大会2023「エリア別展望」

高校野球「秋の注目校5選」北信越大会編 夏の悔しさを胸に「打倒・星稜」に燃えるのは──

岡田浩人
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北信越大会の優勝候補最右翼が、石川の名門・星稜だ。“魔球”とも形容されるスライダーが武器のエース左腕・佐宗は、大崩れすることが滅多にない 【写真は共同】

 10月14日に幕を開ける秋季・北信越大会。この夏の甲子園では、同地区からの代表5チームがいずれも初戦敗退と振るわなかったが、はたして新チームの実力はいかほどか。16校が2枚の“センバツ切符”をめぐってしのぎを削る今大会も、星稜など甲子園常連校が中心となりそうだが、夏を逃した強豪校も虎視眈々。新潟在住のライター、岡田浩人氏に注目すべき5つの高校を挙げてもらった。

夏の甲子園を二度経験している星稜の佐宗

【秋季・北信越大会出場校】※丸数字は秋季県大会の順位
・長野:上田西➀、都市大塩尻②、松商学園③
・新潟:日本文理➀、帝京長岡②、関根学園③
・富山:高岡商➀、富山北部②、高岡第一③
・石川:星稜➀、日本航空石川②、小松大谷③
・福井:北陸➀、福井商②、敦賀気比③、敦賀④


 来春のセンバツ出場を懸けた秋季・北信越大会が、10月14日に福井県で開幕する。出場するのは、新潟、長野、富山、石川、福井の各県大会で上位の成績を残した計16校だ(開催県の福井から4校、その他の県から各3校)。

 北信越地区のセンバツ出場枠は「2」。2004年以降は決勝に進出した2校が順当に選出されている。そのため北信越大会に挑む各県代表校はまず、準決勝突破までの「3勝」を目標に掲げる。第1週目の土日(14・15日)が1回戦と準々決勝の連戦、そして第2週目の土曜日(21日)が大一番となる準決勝だ(決勝は22日)。

 2連戦を2週にわたって戦う大会フォーマットだけに、カギを握るのは投手起用。実際、近年の秋季大会でも高い投手力を誇るチームが上位に勝ち上がっている。過去の優勝校は、例えば2018年が現ヤクルトの奥川恭伸を擁した星稜(石川)で、21年はエース上加世田頼希(日本大)が決勝で完封勝利を挙げた敦賀気比(福井)、そして記憶に新しい昨秋は長身の右腕・友廣陸が牽引車となった北陸(福井)。夏に比べて攻撃力が未完成なため、秋の段階では“スーパーエース”を抱えるチームが上位候補となる。

 優勝候補の最右翼に挙がるのが、石川大会を制した星稜だ。エース左腕の佐宗翼(2年)は星稜中時代に全国大会優勝を経験し、高校入学後も1年夏と2年夏の2度、甲子園のマウンドを踏んでいる。

 今夏は初戦で長崎の創成館に敗れたものの、佐宗自身は2回途中から登板し、4回2/3を投げて被安打2、奪三振5、自責点0という安定した投球を披露。130キロ台後半の直球とキレのあるスライダーなどの変化球を低めに集め、めったに大崩れしない点が魅力だ。さらに今秋の石川大会決勝(日本航空石川戦)では、タイブレークの延長11回2死から勝ち越しとなる内野安打を放つなど、打者としても勝負強い。

 秋の石川大会は5試合で37得点。打線に決して派手さはないが、準決勝(金沢学院大付戦)は5-3、決勝は6-5と接戦を制して頂点に立ったように、ここぞという場面で1点を奪うしたたかさ、粘り強さが光る。
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著者プロフィール

1973年、新潟県三条市生まれ。地元民放の報道記者などを経て、2012年にフリー記者に。新潟県の野球情報を取材したサイト『新潟野球ドットコム』の運営を行い、また『週刊ベースボール』にてBCLリポートなどを寄稿。主な著作に『最終回は、終わらない〜日本文理高校・甲子園準優勝の真実』『地域に根づくもう一つのプロ野球』(いずれもベースボール・マガジン社)など。

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