プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

下位低迷の西武が「避けなければいけないこと」 高橋、平良の先発右腕と若手野手の成長に期待

三和直樹

ドラ1ルーキーと2年目捕手に注目

貧打に悩む打線の中でドラフト1位ルーキーの蛭間が存在感を高めている 【写真は共同】

 一方、貧打が顕著な打線は、12球団ワーストのチーム打率.232でリーグワーストの72本塁打と確実性、破壊力ともに欠いている。山川穂高が不在の中、40歳になった中村剛也が奮闘しているが、やはり若手の台頭が何よりも求められる。

 期待したいのは大卒ドラフト1位ルーキーの蛭間拓哉だ。6月23日に一軍昇格を果たすと、ここまで38試合で打率.265、2本塁打、15打点の成績を残している。注目すべきはその対応力の高さ。最初の15試合を終えた段階では打率.182だったが、7月30日以降の23試合は打率.307と急上昇。当然、9月以降の快音継続とさらなる成長が期待される。

 そして、正捕手として進化中の古賀悠斗にも注目だ。大卒2年目の今季、85試合に出場し(スタメン78試合)、自慢の強肩を武器にリーグトップの盗塁阻止率.414を記録。課題の打撃も通算では打率.214だが、8月は出場24試合で打率.295をマークしている。まだ23歳と若く、来季以降を考えても楽しみは膨らんでいる。

「ジンクス」継承失敗も、汚名は背負わせたくない

 チーム全体を考えても「最下位」には甘んじたくない。2リーグ分立の1950年以降、西武が最下位になったのは計7度で、さらにそのうち6度は1970年代以前のもの。辻発彦監督体制5年目だった2021年の最下位が42年ぶりだったことでも分かるように、長く「西武=常勝」の歴史を続けてきたのだ。

 そもそも今季の西武には“すがりたいジンクス”があった。1982年の広岡達朗から1986年の森祗晶、2002年の伊原春樹、2004年の伊東勤、2008年の渡辺久信と、チームを指揮した8人中5人の監督が、就任1年目にリーグ優勝を果たしたというものだ。だが、松井監督1年目の今季は明らかに戦力不足で、すでに自力Vに続いて、自力CS進出の可能性も消滅することになった。

 それでも5位と6位とではやはり印象、評価は大きく異なる。「最下位監督」という汚名を、球団のレジェンドであり、ファンからの人気も絶大だった現監督に背負わせるわけにはいかない。投手陣の踏ん張りと若手の成長で目の前の1勝を全力で掴み取り、日本ハムとの5位争いを制したい。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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