驚異の成長曲線を描くバスケ日本代表・河村勇輝 支え続けてくれた祖母へ「W杯で結果を」

テレビ朝日

思い入れのあるバッシュでウインターカップ制覇

履き慣れたシューズを実家に送ったら、祖母がきれいに磨いて送り返してくれた 【(C)テレビ朝日】

 中学校進学後も関係が変わることはなかったが、河村は高校進学を機に地元、そして祖母の下から離れることになった。

「僕と離れたくない気持ちが強かったのか、『県外に出てほしくない』、『地元の進学校に進んでほしい』とずっと言われていました。なので、僕が福岡第一に行くと決まった時はすごく泣いていました。それまでは泣く姿を見たことがあまりなかったので、すごく印象に残っています」

 2人が会う機会は限られたものの、高校時代にもエピソードがある。高校最後のウインターカップでの話だ。河村はあるバスケットボールシューズで大会に臨みたかったというが、その一足は「ボロボロ」だったため実家に送ってあったという。だが、「祖母がなぜかわかりませんけど、すごくきれいに磨いてくれて、手元に戻ってきたんです。このバスケットボールシューズで優勝したいなと」。履き慣れたシューズは破損させないため決勝戦まで取っておき、別のシューズで大会に挑んだ。初戦から順調に勝ち上がって迎えた決勝戦。福岡大学附属大濠高校とのライバル対決で10得点13リバウンド11アシストと圧巻のパフォーマンスを見せ、福岡第一を日本一に導いた。

「祖母と一緒にウインターカップを戦った記憶があります。すごくプレッシャーがあるなかで最後にチームメートと一緒に勝ちきれたのはすごくうれしい思い出ですね。遠くにいてもずっと支え続けてくれて、やはり祖母の偉大さを感じました。遠くに行ったからといって、気持ちの距離も遠くなるわけではないので。だからこそ常に一緒に戦ってくれる心強さも感じましたね」

祖母に活躍する姿を見せる時

「B.LEAGUE AWARD SHOW 2022-23」でMVP受賞を果たした際、祖母からのVTRレターで感極まる河村 【(C)テレビ朝日】

 前記どおり、河村はみるみると成長を遂げ、日本バスケットボール界を象徴する選手となった。「B.LEAGUE AWARD SHOW 2022-23」でMVP受賞を果たした際、祖母からVTRで「元気ですか。おばあちゃんです。バスケットですばらしい賞を頂いたことをお父さんから聞きました。本当におめでとう。よく頑張りましたね」(手紙冒頭)との言葉が送られると、舞台に立った“勇ちゃん”(祖母からの呼び名)の目から涙が溢れ出た。

「間接的に手紙をもらうことがあまりないので、大きな舞台であのような手紙をもらえたことにすごく感動したというか、祖母との思い出がいろいろと戻ってきた感覚ですね。(祖母は)一言で表しきれないぐらいの存在で、すごく感謝しているし、僕に常にモチベーションを与えてくれる存在の1人だと思っています。これからもそうだと思うし、祖母のためにというか、僕のバスケットボールの結果で少しでも祖母が元気になればいいなという気持ちです」

 次は自身初となる世界の舞台で「結果」を出す時だ。「ワールドカップで活躍した姿を見せ、目に見える結果を残せれば、祖母も喜んでくれると思うので頑張りたいです」。支えてくれた祖母、そして応援してくれるファンの思いを背負って、河村勇輝はワールドカップを戦う。

(構成・編集/フロムワン)

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