ネイサン・チェンが初めて明かす 金メダル獲得までの苦悩と栄光

課題の“芸術面”向上のためにしたこと ネイサン・チェンの試行錯誤の日々

ネイサン・チェン
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金メダルに輝いた2022年北京五輪、ネイサン・チェンは芸術性も高く評価された 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 ネイサン・チェンが初めて明かす 金メダル獲得までの苦悩と栄光――。

 北京五輪のフリーで5度の4回転ジャンプを決め金メダルを獲得したネイサン・チェン。その栄光の裏には、想像を絶する苦悩の日々、家族やチームとの絆があった。

 トップスケーターが舞台裏を語り尽くす貴重な回顧録『ネイサン・チェン自伝 ワンジャンプ』から、一部抜粋して公開します。

不足したプログラムコンポーネンツ

 前シーズンの全米選手権のあと、ぼくはフィギュアスケート連盟のジャッジ(審判)と役員から意見や感想のフィードバックをもらっていた。ジャンプが注目を集める一方で、ぼくのスケーティングはプログラムコンポーネンツ(演技構成)の面で足りないところがある、という意見だ。プログラムコンポーネンツとは、スケートの芸術面に焦点をあてたスコアだ。たとえば、エッジの質、スケーティングの力、エレメンツと音楽がどのくらい融合しているか、プログラムにどれだけエネルギーと感情がこめられているか、などを評価する。要するに、ぼくはスケートの芸術面を向上させる必要がある、ということだった。

 ぼくもジャッジと役員の意見に賛成だった。ぼくは一度にひとつのことに取り組む方法を取ってきたので、それまでは技術力をできるだけ引きあげることに集中していた。そろそろ、スケートのプログラムコンポーネンツのほうに、もっと注意を払うときが来たのだ。
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