ネイサン・チェンが初めて明かす 金メダル獲得までの苦悩と栄光

ネイサン・チェンがイメージした“4回転” 入念な準備と新たな挑戦の日々の中で感じたこと

ネイサン・チェン
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ネイサン・チャンは2022年の北京五輪FSで史上初となる5本の4回転ジャンプに成功した 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 ネイサン・チェンが初めて明かす 金メダル獲得までの苦悩と栄光――。

 北京五輪のフリーで5度の4回転ジャンプを決め金メダルを獲得したネイサン・チェン。その栄光の裏には、想像を絶する苦悩の日々、家族やチームとの絆があった。

 トップスケーターが舞台裏を語り尽くす貴重な回顧録『ネイサン・チェン自伝 ワンジャンプ』から、一部抜粋して公開します。

転倒の痛みを乗り越えて掴んだもの

 ラフの指導を受けるうちに、ぼくはようやくトリプルアクセルを着氷しはじめた。それから初めての4回転─4回転トウループと4回転サルコウも決めた。初めてトリプルアクセルを着氷したのは、2012年、13歳の誕生日の数日前だった。初めての4回転─4回転トウループをおりたのは15歳のときだ。そのころはしばらくのあいだ、全種類のジャンプの練習に加えて、トリプルトウループを個別に練習し、もう1回転多くまわれるように高さを出そうとしていた。初めて4回転に挑んでみたのはそれより数年前、まだレイクアローヘッドにいた13歳のころだったが、そのときはうまくいかなかった。回転を感じることができなくてコントロールできずに転倒し、いきおいでリンクの端まで滑っていった。レイクアローヘッドにはほかのたいていのリンクにあるようなフェンスがないので、ぼくは氷の上からゴムが敷かれたリンクサイドに飛びだした。何回か転倒するうちに、腰をひどくぶつけた。痛くて恐ろしくて、ふだんはこわいもの知らずのぼくが、しばらくはこのジャンプを練習したくないと思った。
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