井上尚弥、さらなる高みへ スーパーバンタム級挑戦編

井上vs.フルトン フルトン・ヒストリー すべてを変える「熱望の一戦」へ

杉浦大介
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 アメリカのスポーツ専門チャンネル「ESPN」でもストリーミング配信が決定しているなど、「歴史的スーパーファイト」としてアメリカのボクシングファンの間でも最大級の注目を集めるこの一戦。王者としてリングに上がるフルトンのキャリアをひも解く。

井上尚弥と対戦するフルトンは何者か?そのキャリアをひも解く 【写真は共同】

適応力に自信を持つオールラウンダー

「フルトンって大きいですか?」

 昨夏、大橋ジムでのインタビューが終わった後、当時はまだ世界バンタム級王者だった井上尚弥がそう尋ねてきたときの生き生きとした表情が忘れられない。

「背の高さよりも身体の分厚さが印象的ですよ」と伝えると、目を輝かせて鏡の前でシャドーボクシングを始めた。手強い相手の話をする際、これほど嬉しそうな井上はやはり尋常ではない。それと同時に、これまでで最大の敵との戦いが間近に迫っていることを“モンスター”もその時点で感じていたのだろうか。
 7月25日、東京・有明アリーナで井上と対戦するWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(アメリカ)は、間違いなくこれまでで最強のライバルである。アマ75勝15敗の実績を残したフルトンは、プロ転向後も21戦全勝(8KO)。ルイス・ネリ(メキシコ)をKOしたブランドン・フィゲロア(アメリカ)、同級世界王座を4度防衛したダニエル・ローマン(アメリカ)といった強豪を下し、階級内でもベストと称される評価を勝ち得てきた。

 スーパーバンタム級では大柄な身体に、スピード、スキル、フットワーク、リングIQなどを満遍なく装備したオールラウンダー。6マイルを36分で走りきるほどの上質なスタミナまで持ち、パワー以外のすべてを備えている。中でもフルトン自身が最も自信を持っているのは、リング上での適応能力だという。
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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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