表現力を磨く島田麻央、新たな振付師と組む三原舞依 それぞれの意志が見えた、新シーズンのプログラム

沢田聡子

世界選手権開催国・カナダを意識した三原のショート

歌詞に合わせた表現を心がける三原 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 昨季グランプリファイナル女王の三原舞依は、新しいショートプログラム『To Love You More』を披露した。青と白のグラデーションカラーの衣装を身に着けた三原が、透明感のある歌声に乗せて伸びやかなスケーティングをみせる。

 終演後、三原は「歌詞に合わせた振付や表情を、しっかり一つひとつ気持ちを込めて滑れたらいい」と語った。
「表現の部分では、間の作り方や一つひとつの動きの余韻を大切にしながら。歌詞もすごく強い部分も柔らかい部分もあるので、歌声に合わせてしっかりスケートで表現できたらいいなと思っています」
 セリーヌ・ディオンの歌唱と三原の滑らかなスケートは良く合っており、代表作になりそうな予感も漂う。

 振付を手がけたのは初めて組むジェフリー・バトル氏で、カナダ人のバトル氏が母国の歌手であるセリーヌ・ディオンの曲を選んだという。今季の世界選手権はカナダのモントリオールで開催されることも考慮した選択で、「有名で大好きな音楽なので、一つひとつ心を込めて滑っていけたら」と三原は意欲をみせている。

 歌詞に合わせた表現を心がける三原がポイントとしてあげたのが、「『待っている』という強い思いがある歌詞のところ」で跳ぶバレエジャンプだ。バトル氏が「舞依のバレエジャンプが好きだから」と曲のクライマックスに組み込んだという。三原は「しっかり音に合わせて、間の取り方とかタイミングを考えながら」跳びたいと語っている。

 今季の目標を聞かれた三原は、ショート3位につけながらフリーでミスがあり総合5位に終わった昨季の世界選手権について触れている。
「昨シーズン世界選手権ですごく悔しい思いをしたので、新シーズンは最初から最後までしっかりパーフェクトな演技をし続けられるように、体調管理もしっかりして。グランプリファイナルの2連覇と世界選手権の表彰台に乗るということを目標に、一つひとつ大切に、毎日全力で頑張りたいなと思っています」

 三原は昨季を前にしたオフシーズンに続きこのオフにもカナダに留学しており、アイスショーにも精力的に出演した。「もっともっと強くなりたい」「どんな状況でも自分のベストを尽くす」と考え、栄養や睡眠、トレーニングなど体のケアにも注意して過ごしてきたという。
「それが、シーズンに生きてくるなと思って。そのまま続けていきたいです」
 三原は、今からシーズンの最後まで力を発揮するための準備をしている。

 表現力という新たな武器を携えようとする島田、世界選手権に向けて特別なプログラムと体力を備える三原。オフシーズンも、日本女子は着々とそれぞれの強さを磨いている。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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