高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」

高校野球「プレーヤーランキング・23年夏」福岡編 四天王の一角・佐倉を抑えてのトップ評価は?

加来慶祐

花巻東の佐々木麟太郎らとともに、「高校四天王」と評される九州国際大付の佐倉。打った瞬間にそれと分かる一発は、さすがU-18侍ジャパン候補の貫録だ 【写真は共同】

 夏の地方大会で必見のプレーヤーは誰か? 用意したのは、チームではなく選手にスポットを当てた企画、「プレーヤーランキング」だ。福岡大会には「高校四天王」の1人、九州国際大付の佐倉など優れた打者が少なくない。スポーツライターの加来慶祐氏に挙げてもらったトップ10には、強打を誇る捕手が2人、ランクインした。

10位:猿渡 蒼(3年/大牟田/外野手)

 167センチ・70キロと決して大きいとは言えない身体だが、スイングの力強さは目を見張るレベル。広角に打ち分けるセンスに秀で、打席では「ヒットならいつでも打てますよ」といったオーラを醸し出しながら、1試合4安打、5安打の固め打ちも珍しくない。ミスショットの少ない高性能な安打製造機である。そのうえ、逆方向に長打を放つパンチ力もある。勝負勘にも優れ、大事な場面でしっかり結果を残す仕事人ぶりも高評価だ。

9位:中島 昴(3年/久留米商/投手)

 186センチの長身から投げ下ろすストレートは140キロに迫り、日に日に伸びと球威がアップしている。ストライク先行の制球力は水準以上で、課題だったカットボール、チェンジアップといった変化球の精度も向上。結果として、決め球のスライダーがますます活きるようになった。昨秋から体重が5キロ増加し、力で押し切るシーンも目に見えて増えている。1915年の第1回大会(全国中等学校優勝野球大会)に出場の古豪に現れた右腕は、「私学勢の刺客になる」とモチベーションも高い。

8位:森木悠登(3年/東筑/内野手)

 昨夏も主力の一角を占め、8強入りに貢献した左の好打者。柔軟なリストを活かして右へ、左へと長短打を打ち分けるコンタクト技術の高さは、間違いなく県内トップクラスだ。馬力があり、1試合マルチ長打もお手の物。堅実なセカンド守備や勘の良い走塁技術、試合の流れを読んでプレーできる点も含めた総合力は極めて高い。2017年以来となる夏の甲子園出場を目指す北部公立の雄にとって、これほど頼もしい存在はいない。

7位:中園拓明(3年/東福岡/外野手兼投手)

 ゆったりとタイミングを取りながら、鋭くバットを一閃。打球は瞬く間に外野の頭上を越え、ライトスタンドに着弾する。投手としても左腕から140キロに迫るストレートを投げ込み、183センチと大柄ながら50メートル6秒2とスピードもある。力のある野手が揃う今年の福岡県でも「将来性はナンバーワン」と評する声が少なくない。東福岡に16年ぶりの夏制覇をもたらす勝利の使者は、高い身体能力を備えた怪物候補だ。

6位:多久将太(3年/西日本短大付/捕手)

春の県大会で4本塁打を放った多久は、強打を誇る西日本短大付の中心的存在だ。捕手として、投手の特性を最大限に引き出すリードにも定評がある。 【YOJI-GEN】

 背筋で飛ばす「強打の西短」の象徴だ。高校通算20本塁打超を誇り、春の福岡大会では4発を放った。チャンスに強く、1試合複数アーチも珍しくはない。相手投手が思わず後ずさりしてしまうほどのフルスイングに注目だ。捕手としても、球威はさほどないが制球力に優れたエース中塚康太朗(3年)の特性を最大限に引き出し、強気に引っ張るリードにも好感が持てる。2年春から3季連続で九州大会出場という豊富な経験値もプラス材料だ。

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著者プロフィール

1976年大分県竹田市生まれ。東京での出版社勤務で雑誌編集などを経験した後、フリーランスライターとして独立。2006年から故郷の大分県竹田市に在住し、九州・沖縄を主なフィールドに取材・執筆を続けているスポーツライター。高校野球やドラフト関連を中心とするアマチュア野球、プロ野球を主分野としており、甲子園大会やWBC日本代表や各年代の侍ジャパン、国体、インターハイなどの取材経験がある。2016年に自著「先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者〜」(日刊スポーツ出版社)を出版した。

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