井端と西尾が作る「ドラフト番付」二人が選んだ東西の横綱は!?
捕手で唯一名前が挙がった常葉大菊川・鈴木
キャッチャーとして唯一、今回の番付に載った鈴木叶(常葉大菊川高) 【写真:共同通信】
■井端:草加勝 投手(亜細亜大)
■西尾:度会隆輝 外野(ENEOS)
井端 あっ! (度会は)迷ったんです。(小結は)こっちです!
西尾 (笑)。
井端 本当に迷ったんです。
西尾 では先に度会選手からいきましょう。度会選手の印象はどうでしょうか?
井端 1年目からずっと出ていて、2年目の昨年は都市対抗でホームラン王と橋戸賞も獲って、ほぼ三冠王に近くて、社会人野球の中ではスラッガーですよね。
西尾 JABA大会とかそれ以外の大会でもすごくいいんですよね。
井端 地方大会もコンスタントに打っていますし、コンスタントに打っているというのは評価が高くなりますよね。
西尾 打つ形が大きいしミートも上手いというのがいいですよね。
井端 社会人野球は、(相手投手との)対戦が少ない中で対応してなければいけないのに、そんななかでこれでだけ毎試合打っているというところでは、技術はあるんだと思います。プロにきたら、同じピッチャーとも何度も対戦ができますから、より打つ確率が高くなる選手だと思いますね。
西尾 上手くいけば3割、20〜30本くらいまで期待できそうですよね。
井端 ヤクルトとか面白いんじゃないですか?
西尾 井端さんは後輩の草加投手を挙げていますね。
井端 結果だけです。
西尾 でも結果がすごいですよね!
井端 春のリーグ戦で3完封ですか? まだ荒削りなところがあって、打たれるときも点をとられるときもあるんですけど、完封する体力とフォークボールがいいなと思うんです。東都は、いまはいろんな球場で試合をしていますけど、いろんな球場で完封をしているのはマウンドに対しての適応力があるかだと思うんですよね。
西尾 確かにそうですよね。東都ではいろんなピッチャーが評判になる中で、この春に一番結果を出したのは草加投手ですからね。リードしている場面で生田監督が「代わるか?」って聞いたら「いえ、投げます」と言って完封したという、亜細亜大のエースらしいなと思いましたけどね。
井端 今は分業制で、大学もそれに近いものがあるので、そのなかで3完封ですから。そこに敬意を表してというところですね。
西尾 それでは、西の小結が度会選手、東の前頭筆頭が草加投手にしましょう。
【西】小結:度会隆輝 外野(ENEOS)
【東】前頭筆頭:草加勝 投手(亜細亜大)
西尾 続いてが西の前頭筆頭ですね。それではお願いします。
■井端:鈴木叶 捕手(常葉大菊川)
■西尾:東松快征 投手(享栄)
西尾 おー、高校生キャッチャーできましたね。
井端 (東松選手は)迷ったうちの1人ですけど、ちょっとキャッチャーでいこうかなと。
西尾 今のところキャッチャーは出ていないので、鈴木選手がトップですね
井端 スローインが柔らかいのと肩が強いですよね。でもちょっとだけ(肘が)下がってシュート回転するんですけど、そこは軌道でカバーできているんですよね。あとはバッティングも柔らかさがある。U18では木製にも対応できていましたし、大きく振れる選手なんですよね。後ろが小さく、前が大きく振れる。非常にい良い選手だと思います。
西尾 見るからに立ち姿が格好いいですよね。いかにもい良い選手というのがそれだけでも分かりますよね。この春に評価を上げている気がします。
井端 スタイルがいいですよね。キャッチャーらしくないシルエットというか。
西尾 僕は同じ高校生なんですけどピッチャーの東松選手にしました。
井端 「昭和の匂い」がするピッチャーですね。マウンドでの顔つきや表情に鋭いものがありますね。まだ全国的には......という部分があって、本人的にはそこに負けたくない気持ちが強くて、そういう気持ちでU18でも投げていたと思うんですよね。
西尾 同じ左だと大阪桐蔭の前田投手の方が有名ですよね。去年見たときは確かに速かったんですが、ちょっとばらつきも大きくて。「どうかな......」と思っていたのが、オフの間に柔軟性が上がったみたいでコントロールもだいぶ良くなってきた感じがしました。
井端 ボールはパワー系なんですけど、フォームがパワー系ではない気がしますね。
西尾 そんな感じがしますよね。左であれだけ力のボールを投げられるというのは魅力かなという気がしたので、僕は東松選手を選びました。どちらにしましょうか?
井端 東松選手で。次に書こうと思っていましたから。
西尾 なるほど(笑)。では東松選手を西の前頭筆頭、鈴木選手を左の前頭二枚目としたいと思います。
【西】前頭筆頭:東松快征 投手(享栄高)
【東】前頭二枚目:鈴木叶 捕手(常葉大菊川高)
名前が挙がらなかった選手達の気になる評価
前頭三枚目まで、選ばれた13人の名前が載った番付表 【画像:Timely!編集部】
■井端:泉口友汰 内野(NTT西日本)
■西尾:下村海翔 投手(青学大)
西尾 おー! 泉口選手はちょっと想定外でした(笑)。でも井端さんは大学時代から仰っていましたよね。
井端 青学大の時に、外野の方から歩いてきたら、「ショートが格好いい」と思ったんですよね。アマチュアでショートの選手をパッと見て格好いいと思ったのは泉口選手だけなんです。
西尾 ほー。
井端 それくらい雰囲気のある選手で、体型も良くて。大学を出てNTT西日本に行きましたけど......
西尾 できれば「東」に来て欲しかった?
井端 できればというか、それは今でも思っているくらいですけど(笑)。
西尾 プレーの形がいいですよね。打つにしても守るにしても。
井端 大阪桐蔭の時から見ていましたけど、実際に見てみて、ショートに収まって非常に良い選手だなと感じました。番付の最後はこの選手にしようと決めていました。
西尾 青学大の選手が多くなりますけど、僕は青学大の下村選手にしました。この春に関しては、下村投手がすごく良くて、僕が見にいった試合がベストピッチだったかもしれないですけど、打たれそうな感じがしなかったんです。コントロールも良いし、真っ直ぐもその日は153キロくらい出ていて変化球も素晴らしくて。常廣投手と下村投手がいたらやっぱり優勝するよなという感じでした。
井端 3月中旬に(NTT東日本が)青学大とオープン戦をやったんです。常廣投手は故障明けというのもあったと思いますけど、下村投手の方が良いストレートを投げていました。非常に小気味よいピッチングをしていました。
西尾 身長が174センチで大きくないんですけど、「オリックスの山岡泰輔投手くらいにはなれそうかな」という話をこの前スカウトの方がしていて、「じゃあ1位じゃん」という感じなんですけど(笑)。
井端 (笑)。
西尾 それくらいこの春は素晴らしいピッチングをしていた下村投手なんですけども、番付はどうしましょうか?
井端 下村投手ですよ。泉口選手は僕の好みというだけなので「番外編」くらいで(笑)。
西尾 はい。それでは最後の西の前頭二枚目は下村投手。では泉口選手は東の前頭三枚目ということにさせていただきます。
【西】前頭二枚目:下村海翔 投手(青学大)
【東】前頭三枚目:泉口友汰 内野(NTT西日本)
西尾 前回の対談ではいろんな選手の名前が挙がりましたけど、今回の番付で名前が挙がらなかった選手もいましたね。
井端 そうなんですよね。
西尾 中央大の西館(勇陽)投手なんかは、ちょっと今は調子が落ちているのかなというのはありますね。
井端 ちょっとタイミングが合っていないのかなと思うんですよね。ランナーがいてもいなくてもクイックで投げることが多くてクイックも速いんですけど、ちょっと(フォームの)タイミングが合っていないように見えるんですよね。名城大の松本(凌人)投手も変則的なフォームがちょっとね。より一層体の開きが早くなって、腕っ節に頼って投げにいっているのかなという感じがします。
西尾 松本投手のボール自体は良いと思うんです。でも打たれた試合を見た人に聞いたら「ボールは良いのに打たれていたから癖とかを見破られているのかも」と言っていましたね。
井端 年々、フォームの途中で捻って止まる時間が長くなっていますね。2年の時にサイドで150キロくらい投げたときは、これはどこまで伸びるのかと思ったんですけどね。スピードガン的には変わってないとは思いますけど。
西尾 あとは野手だと東京六大学の2人、慶応大の廣瀬(隆太)選手、明治大の上田(希由翔)選手も迷ったんですけどね。
井端 廣瀬選手は雰囲気というか、シルエットが良いですよね。シルエット見ちゃうんですよね(笑)。
西尾 ネクストから入ってくるときの雰囲気が「ラスボス来たな」という感じですよね。打率は低いですけどホームランは打っていますしね。上田選手は収録時点(5/19)では打率4割を打っていて、やっぱり安定して打てているなという印象ですね。
井端 昨年から良いバッティングしていましたね。でもポジションが三塁なので難しいところがありますね。
西尾 収録が5月という段階なので、これから夏に向けて高校生なんかも出てくるでしょうね。
井端 楽しみですよね。今は評価が低めの選手も、夏に向けて一気に上がりますしね。
西尾 次のタイミングが何時になるか分からないですけど、またやりたいですね!