井端・西尾のドラフト対談(4月編)

スイングが良くなった矢澤や、即戦力投手たちの評価は? 井端弘和がルーキーたちの現状を診断

Timely!編集部

モノが違う内藤、松尾は「最先端」の捕手になれる

二軍で才能の片鱗を見せる松尾汐恩 【写真は共同】

西尾 あとは今年の戦力というわけではないと思いますけど、高卒の選手も二軍では試合に出場している選手もいますね。

井端 オリックスの内藤(鵬)選手!

西尾 凄いですね、やっぱり。

井端 侍ジャパンが強化試合でオリックスと試合をしたんですけど、スタンドから見ていたんです。グラウンドに着いたときにオリックスがバッティング練習をしていたんですけど、太田(椋)選手と並んで一緒に打っていた選手がいたんです。太田選手は背番号で分かったんですけど、隣のあんまり大きくない選手がカンカン飛ばしていたんです。「誰だ、あれ?」っていう感じですが、それが内藤選手だったんです。高校生の時は大きいなと思ったんですけど、プロに入るとそんなに大きく見えなくて分からなかったですね。

西尾 あるあるですね(笑)。

井端 やっぱりモノが違うなと思いましたよ。

西尾 オープン戦でも最初から1軍の試合でも使われていましたけど、雰囲気が高卒ルーキーじゃなかったですね。

井端 いずれ、オリックスのクリーンナップを打ってくる選手なのかなと思いますね。最近オリックスも早いですからね、出てくるのが。来年、再来年くらいには一軍で出てるんじゃないかと思いますよね。

西尾 怪我さえなければ二軍の試合でもずっと使い続けるんだろうなっていう感じですよね。ホームランも出ていますし。凄いですよね。
(編集部注:内藤は左膝外側半月板損傷で現在は離脱中)

 あとは期待が大きいところではDeNAの松尾(汐恩)選手、巨人の浅野(翔吾)選手あたりですかね。

井端 浅野選手もちょっとね、プロのスピードに手こずっているというか戸惑っている感はあるなと思うんですけど、でもプレースタイルが良いですよね。ジャイアンツにはないタイプと言ったら失礼なんですけど。

西尾 (笑)。

井端 結構二軍の試合でも向かっていく気持ちというか、アグレッシブですよね。一塁にヘッドスライディングしてみたり、(相手の外野手が)ちょっと弾いただけで直ぐにセカンドに行くというスタイルは、いいなと思って見ています。ああいう気持ちでずっとやっていれば、いずれ出てくると思いますよ。

西尾 巨人の水野(勝仁)スカウト部長と話す機会があったんですけど、「割と体もできているので、慣れてくれば早めに出れるんじゃないかな」みたいなことをおっしゃっていました。松尾選手も二軍ではずっと使われていますね。

井端 バッティングが良いのは分かっていたんですけど、木製バットになって打球が飛ぶようになったイメージがありますね。質の良い打球を打っているなというところでは、凄く上手に木製バットの性能というか、ヘッドを使えて打ってるんだろうなと思うんですよね。バッティングも伸びてもらって、あとはキャッチャーですよね。全然話が変わっちゃうんですけど、いいですか?

西尾 どうぞどうぞ。

井端 メジャーリーグがピッチクロックを導入してサイン交換があんなふうになって、ベンチからサインを送られて、それをピッチャーに出してるわけですよね。だからキャッチャーも(インサイドワークより)打力を求められるようになってきますよね。日本もそうなったら、松尾選手は最先端のキャッチャーになるんじゃないかと思って見ています。

西尾 DeNAも思い切って1位指名で行きましたし、今のところの二軍での使われ方を見ても、腰を据えて正捕手に育てようみたいな感じがしますよね。

井端 あとはピッチャーで注目なのは、広島の斉藤優汰投手、阪神の門別啓人投手ですかね。(門別投手のような)左から柔らかく“ペッ”って投げるピッチャーが大好きなので、頑張って欲しいなと思いますね。ソフトバンクのイヒネ(イツア)選手は情報が全く入ってこないですね。

西尾 この前ソフトバンクのスカウトの方の話を聞いたら、まだ骨端線が閉じていないのでかなり慎重にやっていると聞きました。

井端 ああ、本当ですか。

西尾 まずは体作りみたいなことを仰っていましたね。実戦で出るのはまだまだこれからじゃないですかね。

井端 そうでしょうね。

友杉は「あとは打つだけ」、小孫は「悪いものを出し切った」

井端さんが「いずれレギュラーになってもらいたい」と期待する友杉篤輝(ロッテ) 【写真は共同】

西尾 井端さんと同じショートでいえば、ロッテの友杉(篤輝)選手が出てきてますね。

井端 僕の大学の後輩の藤岡(裕大)が、春先はビックリするくらいの打率を残していたので、友杉選手もなかなか出る幕がなかったんですよね。左ピッチャーの時に出てきて良いところで打ったりしていたので、いずれ出てくるんじゃないですか? 守備も良いですし。あとはバッティングだけだと思うので。

西尾 オープン戦ではなかなか打てていなかったのに一軍に残っているというのは、やっぱり守備の評価が高いですよね。

井端 控えに甘んじないようにして欲しいですね。守備は良いので、練習が必要なのはバッティングだけ。バッティングだけを常に考えておけばいい選手だと思うので、一番楽ですよね。いずれレギュラーになってもらいたいと思います。

西尾 あとは後輩つながりになりますけど、中日の田中(幹也)選手も、キャンプ、オープン戦でワーッと出てきたんですが、怪我をしてしまいましたね。

井端 「もったいない」のひと言ですね。プロ野球に入ってみたらみんな言うんですけどね、「無事之名馬」なんですよ。怪我をしない選手が一番強い選手だと思うんです。でも入って直ぐに怪我をしたっていうのは、まだ救いかなと思います。きっちり治して、リハビリをして再発しないところまでやってもらってね。怪我をして首脳陣に「痛い」って言われるというところでは、僕から言わせてもらうと1年目の役割は終わった、ということですよね。

西尾 そういうことですね。「使えるぞ」と思わせたわけですからね。

井端 来年以降の期待値は高いですよね。

西尾 もう1人、井端さんの後輩がいますね。西武の青山(美夏人)投手はいきなり抑えで使われていましたね。

井端 僕もびっくりしました(笑)。

西尾 みんなびっくりしていましたよね。

井端 松井稼頭央監督は同級生なので「どういうことだ!?」って言いに行きたいくらいですよ(笑)。

西尾 でも抑えましたしね。

井端 オープン戦の後半、ずっと抑えていたのは分かるんですけど、まさかと思いました。最初はちょっとやられてしまいましたけど、その後はきっちり抑えたのは良かったと思いますね。

西尾 もう1人リリーフで期待されていたのが、社会人から入った楽天の小孫(竜二)投手ですね。

井端 僕も期待していたんですけどね。「していた」と言ってしまうのはアレですけど。

西尾 そうですね。まだ始まったばかりですからね。

井端 初めは先発で、みたいな感じからオープン戦の途中で中継ぎをやって、1イニングいって良かったですからね。中継ぎでいくんだ、と思ってシーズンが始まって初登板でストライクが入らないっていうね。でも初登板なんでね。

西尾 そうですよね。でも(社会人から入っているので)1年目から活躍して欲しいという期待が大きいですよね。

井端 なんとなく、都市対抗もプロ初登板も同じくらいのプレッシャーのなかでやっているような気がしますよね。

西尾 なるほどなるほど。

井端 それくらい、都市対抗というプレッシャーもある中でやってきたわけですから、大丈夫だと思います。もともと制球が良いピッチャーですし、ストライクが入らなかったのも初登板だからだろうなと思って見てますよ。

 最初が良くても後がダメなら一緒なので。最初に悪いものが全部出たくらいのつもりでやってくれればね、力はあるし、体力もある選手だと思うので、大丈夫だと思います。

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