井端・西尾のドラフト対談(4月編)

山形中央・武田、滝川二・坂井など、センバツ未出場組も高評価! 井端・西尾のドラフト対談(センバツ・U18代表合宿編)

Timely!編集部
 NTT東日本のコーチであり、侍ジャパンU12監督も務める球界屈指のアマチュア野球ウオッチャー井端弘和さん。そしてアマチュア野球を年間300試合以上観戦し、ドラフト中継番組では解説も務める野球ライター・西尾典文さん。このお2人が「ドラフト注目選手」をテーマに今年も対談しています!

 今回はセンバツ大会と直後に行われたU18代表合宿で注目した選手について語っていただきました。

一番伸びしろが大きいのは光高校の升田

「良いピッチャー」と2人が口を揃えた光高校の升田早人 【写真は共同】

西尾 今年のセンバツを、選手を中心に振り返っていきたいのですが、井端さんはご覧になっていかがでしたか?

井端 気になる選手をピックアップして1回戦全てを現地で見たんですけど、みんな力が入っていましたね。

西尾 なるほど(笑)。甲子園でガッツリと1回戦全部を見るのは今回が初めてですか?

井端 気になった選手を見に行ったことはありましたけど、ガッツリと1回戦を全部見たのは初めてです。みんな「力入ってるなぁ。かわいそうだなぁ」と思いながら見ていました。特にキャッチャーはみんなセカンドに全力で投げていましたし。

 2回戦になると多少力が抜けて良くなっていましたけど。僕もセンバツに出たことはありますけど、当時は緊張で力むどころじゃなかったですね。

西尾 報徳学園の堀(柊那)君なんかは、1回戦はすごく力んでいました。

井端 センターまで投げるんじゃないかと思ったくらいです。

西尾 でもその後の大阪桐蔭戦のスローイングは凄いなと思いました。

井端 そうですね。みんな普段通りの力はなかなか出せなかったと思うんですけど、そういうことを差し引いても、良い選手は結構いました。

西尾 特にピッチャーだと大阪桐蔭の前田(悠伍)君とか、専大松戸の平野(大地)君とかですかね。

井端 前田君はU18代表合宿でも投げたんですけど、センバツのときよりも良かったです。センバツは良かったり悪かったりの波があったんですけど、合宿のときのように練習試合みたいな感じの楽な状態で投げたときは、バランスも良かったですし、ベース板上のキレは高校生の中では別格だなと思いました。

西尾 あれだけ注目される中でも、調子が良くないと言われながらも、なんだかんだで初戦も14個の三振を取りました。凄いピッチャーであることは間違いないですね。

 平野君も(センバツでは)厳しいところもあったんですけど、U18のほうでは良かったそうですね。

井端 そうですね。ボールの勢いはセンバツよりはあったと思います。MAXが147km/hくらいでそれを常時投げていましたね。体は大きいんですけど、もう少し上手く下半身が使えればあと5km/hくらい、152km/hくらいはすぐに出せるんじゃないかと思いながら見ていました。

西尾 もともとキャッチャーだったこともあって、ちょっとまだ投げ方が野手っぽいなという感じがちょっとしましたけど。

井端 まだ手だけの感覚で投げている気がしたので、もっと下半身が使えて、腕がしなってボールを離せたら簡単に球速が5km/hくらい上がる素材だと思います。

西尾 光高校の升田(早人)君も良かったですね。

井端 良いですよね! ちょっと(上体が)突っ込み気味で「このまま突っ込んじゃうんじゃないか!?」というところをマウンドの傾斜を使ってバランスをとってね。

 (投げているボールも)キャッチボールをするような感じの投げ方じゃないですか? なのにボールがピュッとくる。あれは僕でも(バットを)差されますもんね。

 まだ線は細いですけど、体がしっかりできてきて球速ももっと出るようになったら、見た目とボールのギャップが激しいので打つのは難しいと思います。良いピッチャーでした。

西尾 去年の秋は映像でしか見ていなくて、今回初めて現場で見ました。対戦相手の彦根総合も近畿大会では結構打っていたチームだったんですけど、そのチームがあれだけ打てないって、なかなか凄いなと思いながら見ていました。

 (いろんなプロの)スカウトの方とも話しましたけど、今大会で一番びっくりしたのは升田投手だという声をよく聞きました。「思ったより良かったね」と皆さん仰っていました。

井端 U18の合宿では(甲子園のような)スタンドから見るのではなくてグラウンドと同じ目線で見れたのですが、結構ボールもキレているのが分かりました。まだ球種は大きいカーブともう一種類くらいしかないですけど、あのカーブも結構ブレーキが効いているというか曲がりも大きいので、球種は二種類で十分かなと思えるようなピッチャーでした。

西尾 県立高校からこのレベルのピッチャーが出てくるのはなかなか凄いというか、ちょっと新鮮でした。

井端 一番伸びしろが大きいピッチャーだと思いました。

合宿で投打に目を引いた山形中央・武田

井端さんが投打を絶賛する山形中央・武田陸玖 【写真は共同】

西尾 野手はどうでしたか? 評判が高かった選手も多かったですけど。

井端 広陵の真鍋(慧)選手と、(U18の合宿では)九州国際大付属の佐倉(侠史郎)選手は注目を浴びてましたよね。佐倉選手は、体はガッチリしているんですけど、唯一体の軸を使ってその場でくるっと回れるバッターだなと思いました。

 最初は木製バットを使っていたんですけど、どちらかという腕の力で打っている感じで、まだ木のバットに慣れていないのかなと思ったんです。それが打席を重ねる毎に木の性能というか、木製バットを上手く使ったバッティングに変わってきたんです。腕を柔らかく使えるようになって、打席の中での変化が出てきたので、その辺の修正力だったり、頭の柔らかさというか、自分で考えることができる選手だと思いました。あの短期間でね。

西尾 真鍋選手もセンバツの最初の2試合はあんまりでしたけど、準々決勝で左中間に凄い打球を飛ばして、やっぱり力はあるなと思いました。

井端 ホームランはなかったですけど、二塁打とか長打を結構打っていて、単打ではないというのが良かったと思いますし、バットを振れますよね。

西尾 そうですね。

井端 「振れる」というろことでは真鍋選手と沖縄尚学の仲田(侑仁)選手ですね。スイングはトップクラスだと思いますね。

西尾 仲田君は満塁のチャンスで相手がタイムをとって、プレー再開後の初球を打って満塁ホームラン。あれは凄かったです。

井端 「振れる」というのが、やっぱり一番良いことですよね。あとは「当てる」というところに繋げていけば良いわけですし。「合わせる」というのは、いくらでも合わせられるので。とにかく振れるというのが非常に良いことだと思います。

西尾 センバツに出ていない選手でいうと、報道にも出ていましたけど山形中央の武田(陸玖)選手ですかね。

井端 (U18代表合宿に行ったのは)彼を追いかけていったようなものでしたからね。

西尾 (笑)。

井端 でもこれはプロに持って行かれるなと思いました。

西尾 井端さんも「社会人に来てくれないかな」って、おっしゃっていましたもんね。

井端 1月、2月に社会人野球の練習に参加していてそのときも見ていたんですけど、そのときよりもまた良くなっていました。特にバッティングですね。「(代表合宿でも)バッティング練習やるんだー」と思っちゃいましたね。

西尾 なるほど(笑)。

井端 ピッチャーをやっていますけど、バッティングも良いことはわかっていたので(それがバレてしまう)。案の定、プロのスカウトも「バッティングが良い!!」って言っていましたね。(合宿に参加した選手のなかで)唯一、体の強さを感じるし、バットをしならせて「パッ」と回れる選手だったので、やっぱり目を引きますよね。U18の馬淵(史郎)監督も4番に据えたりしていましたもんね。

西尾 馬淵監督も「一番目立った選手」ってコメントもされていましたね。僕はU18合宿前の3月に、関東に練習試合に来ていたので2試合見に行きましたけど、やっぱり1人だけ高校生じゃない選手が混ざっているような、そんなスイングでした。

井端 一振り見ただけで、「違うな」という感じがありましたよね。

西尾 ピッチャーとしても、僕が見たときは6回くらいまで投げて140km/hに届かなかったストレートはなかったですし、やっぱり馬力があります。元ヤクルトの高井雄平選手にみたいになっていくのかなという気がしますね。まだピッチャーで行くのか野手で行くのか分からないですけど。

井端 日本ハムの矢澤宏太選手に近いかなぁって、スカウトの方とかは言ってましたね。足は矢澤選手ほどではないですけどね。

西尾 うんうん。

井端 矢澤選手の足はS級なので。

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