カーリングミックスダブルスで五輪初出場を目指すために、今日本がしていること。すべきこと。

竹田聡一郎

世界で勝つために

過去最高成績を残した藤澤山口だが、両選手とも来季は4人制の日本代表であるためにミックスダブルスの強化のスケジュールを確保できるかどうかがネックになってくる 【写真:筆者撮影】

 来季への継続という意味では強化ペアの選考も問われてくるが、JCAは強化チーム選考に関するルール「強化チーム選考規程」を3月中旬に決定、および公式HPなどで公開している。

 日本選手権や海外ツアーの結果を主にしつつ、チーム体制なども考慮してポイントを割り振りその合計点で強化指定チームを決める。「世界における主要な大会において栄えある成績を収めることを目的として」定められたものとしているが、透明性という点においては選手もファンも納得できるものになりそうだ。

 ダブルスの場合、松村・谷田や小穴・青木など、日本選手権上位ペアからスムーズにトップチームとして認定されそうだ。両チームは遠征や合宿にかかる強化費の一部を負担してもらえることになる。

 一方で、日本選手権への予選を免除される強化委員会推薦枠、あるいは前述のような強化合宿に参加できるペアの選定は別途されるのだろうか。

 日本選手権3位の吉田・松村や4位の藤澤山口はおそらく推薦ペアに指名されるだろう。日本選手権のベスト8に残ったチームは以下だ。

吉田・清水(吉田知那美、清水徹郎)
チーム苫米地(苫米地美智子、苫米地賢司)
敦賀・南(敦賀心羽子、南郁慧)
育英館大学(奥山美佳、稲場滉人)

 また、4人制の結果も考慮するならば連覇を達成したロコ・ソラーレの鈴木夕湖と男子準優勝の平田洸介(KiT CURLING CLUB)のペアが活動を再開した場合、上記4ペアとの比較が難しい。

 あくまで仮の話ではあるが、4人制の男子で優勝したSC軽井沢クラブの栁澤李空が、女子準優勝で同じくSC軽井沢クラブの上野美優や金井亜翠香と新規でペアを結成した場合は、実績をどう捉えるか。

 同じくSC軽井沢クラブ勢では、ダブルスでは惜しくもプレーオフ進出は果たせなかったが西室塚本(西室淳子、塚本達)は、西室が女子で準優勝、塚本も男子で出場(チーム荻原/7位)するなどダブルスとの両立を実現した。名前が挙がってもいいペアだろう。

 いっそ、実戦形式の強化合宿、あるいは大会を開催するという考え方もある。近年、カナダなどで本格的にシーズンインする前に北海道ツアーが運営されている。その前後で上記の候補チームや「日本選手権でクオリファイ(プレーオフ進出)を果たした選手同士のペア」といった最低限の出場条件を作り、希望するチームで大会を行い、優勝、あるいは準優勝チームに日本選手権の出場枠を与える。

 運営や、もし大会にするならスポンサーの確保なども含めて、もちろん実現は簡単ではないかもしれないが公平性と透明性という意味では誰もが納得できる決定になる可能性は高いし、何よりも試合機会の確保や、ミックスダブルスの競技普及と周知が望めるのではないだろうか。

 まずは今季の集大成として世界選手権で谷田・松村がどんなパフォーマンスを見せ、どういう結果を残すかは重要だ。4月中旬にピークを作るべく、2選手は軽井沢で合宿を組んだ。世界選手権には強化の立役者である小笠原がコーチとして昨年に続き帯同する予定だ。初出場を目標とするミラノ・コルティナダンペッツォ大会まで3年を切っている。そろそろミックスダブルスでも世界に名乗りをあげていい頃だ。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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