米記者が侍ジャパンのWBC準決勝を大胆予想 “不屈のメキシコ”も日本には勝てない確固たる根拠

杉浦大介

メジャー球団関係者のお目当ては佐々木

大谷(16番)やヌートバー(左)を中心とした打撃も好調。カスティーヨ記者の目にも、日本はここまでの大会をリラックスして楽しんでいるように見えるようだ 【Photo by Masterpress - Samurai Japan/SAMURAI JAPAN via Getty Images】

 では、上昇一途のアステカの戦士たちと日本が激突する準決勝は、いったいどんな試合展開になるのか。3月18日以降のゲームの前売り券はすべて完売と伝えられ、日本対メキシコ戦も大入り満員が確実。やはりスタンドの大部分を埋めるのはメキシコのファンになるはずで、アウェイの環境下で日本が苦戦を強いられる可能性も十分にあるだろう。

 もっとも、メキシコの力を熟知するカスティーヨ記者ですらも、準決勝はやはり侍ジャパンが優位と予想している。その根拠には、1次ラウンドで全体的に力がやや落ちるグループ(プールB)に属していたとはいえ、準々決勝のイタリア戦を含むこれまでの5試合で日本が示してきた、安定した強さがあるようだ。

「一発勝負を予想するのは難しいが、やはり日本が勝つのではないかと思う。日本はこのトーナメントをリラックスして楽しんでいるし、投手陣を中心に選手層もメキシコより厚い。野手では大谷翔平(エンゼルス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)がいいバッティングをしてチームを引っ張っていて、レッドソックスと契約したばかりの吉田正尚も好調だ。

 打撃に関してそこまで大きな差はないとしても、中継ぎ・リリーフを含めた投手陣の比較では日本がワンランク上。なかでもこの準決勝では、私だけでなく多くの記者が(先発が予想される)佐々木朗希(ロッテ)の投球を見るのを、とても楽しみにしているんだ。もちろんメジャー球団のスカウト、関係者も、こぞって佐々木を見るために球場を訪れるはずだよ」

 佐々木で行けるところまで行き、ピンチになれば1次リーグのオーストラリア戦で4回1安打無失点の好投を見せた山本由伸(オリックス)を、惜しげもなくつぎ込むだろう。大谷を筆頭に打線も好調なだけに、現地でも大方の予想は日本優位に傾いている。順当に行けば、侍ジャパンが決勝に勝ち進むと考えていい。

メキシコ勝利の絶対条件はサンドバルの好投

メキシコが日本優位の下馬評を覆すには、先発予想のサンドバルの好投が必須。打ち崩された場合、プエルトリコ戦のような逆転劇は望み薄だ 【Photo by Christian Petersen/Getty Images】

 では、そんな見方をメキシコが覆すとすれば、何が条件になるのか。その問いに対するカスティーヨ記者の答えは明快だった。

「メキシコはバランスのいいチームだが、ブルペンに少し難がある。層が薄く、ジョバンニ・ガエゴス(カージナルス)以外のリリーバーたちは、やや信頼に乏しい。プエルトリコ戦では何とかしのぎ切ったが、そこで登板したフリオ・ウリアス、ハビエル・アサド(カブス)はもう起用できない。そんな状況下で、先発が予定されるサンドバルが早いイニングで日本打線に捕らえられれば、メキシコは窮地に陥る。逆に言えば、サンドバルの好投が、メキシコが勝利するための絶対条件ということだ」

 日本の投手陣のクオリティを考えても、先発のサンドバルが打ち崩された場合、プエルトリコ戦のように打力で巻き返すというシナリオは考えにくい。だとすれば、やはり準決勝でメキシコの鍵を握るのは、昨シーズン、大谷とともにエンゼルスの先発ローテーションを守り、27度の先発機会で防御率2.91をマークしたサウスポーということになる。

 日本が大方の予想通り順当勝ちするのか、あるいは不屈のメキシコが快進撃を続けるのか。ベースボールファンの視線が集中する決戦は、序盤から目が離せないバトルになりそうだ。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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