米記者が侍ジャパンのWBC準決勝を大胆予想 “不屈のメキシコ”も日本には勝てない確固たる根拠
準決勝のメキシコ戦で先発が予想される佐々木。ピンチになれば山本もつぎ込める日本の投手力が、大きくものを言いそうだ 【Photo by Masterpress - Samurai Japan/SAMURAI JAPAN via Getty Images】
※リンク先は外部サイトの場合があります
メキシコの辞書に「諦める」という文字はない
「メキシコには決して諦めない多くの戦士がいる」
3月17日の準々決勝でプエルトリコを下したあと、メキシコのベンジャミン・ヒル監督はそう勝ち誇るように言った。実際、1次ラウンド(プールC)では開幕戦でコロンビアに4-5で敗れながら、その後、アメリカ、イギリス、カナダを下して堂々の1位通過。そして準々決勝でも、初回に左腕エースのフリオ・ウリアスが4点を失う厳しいスタートとなったが、強敵プエルトリコを相手に5-4と見事な逆転勝利を収めている。
メキシコの辞書に「諦める」という文字はない。今大会で想像以上の快進撃を続けるアステカの戦士たちには、特別な力が宿っているようにも思えてくる。
地味ながらもリスペクトに値する陣容
メキシコの快進撃を予測していたという『L.A.タイムズ』のカスティーヨ記者。「中軸打線のパワーと先発投手陣の質が最大の長所」と分析する 【杉浦大介】
「WBCの開幕前にメキシコのロースターを眺めたとき、これはいいチームになるなと思った。ジャーニーマンとか、メキシコリーグの選手たちではなく、立派なメジャーリーガーが名前を連ねていたからね。フリオ・ウリアスはドジャースのエース級で、パトリック・サンドバル(エンゼルス)、ホセ・ウルキーディ(アストロズ)、タイワン・ウォーカー(フィリーズ)といった、そのほかの先発投手陣も上質だ。
野手の中心は2年連続20本塁打&20盗塁のランディ・アロザレーナ(レイズ)。彼はプレーオフやワールドシリーズでも活躍してきた好選手だ。ロウディ・テレス(ブルワーズ)も実績のあるベテランで、ジョーイ・メネセスも昨年はナショナルズで素晴らしいシーズンを過ごした。さらにルイス・ウリアス(ブルワーズ)、アレックス・バードゥーゴ(レッドソックス)もメジャーで主力を張っているし、オースティン・バーンズ(ドジャース)という経験豊富な捕手がいるのも大きい」
ここでカスティーヨ記者が名前を挙げた選手たちは、フリオ・ウリアスを除けばMLBのスーパースターとは呼べないかもしれない。しかし、いずれも確固たる実績、経験を積み上げてきた本物のメジャーリーガーだ。攻守のバランスに優れ、選手層は厚く、同時にメキシカンらしい熱さも備えている。そんなメキシコ代表は、少々地味ながらも間違いなくリスペクトに値する陣容と言っていい。
「中軸打線のパワーと先発投手陣の質が、メキシコの最大の長所だ。今大会でトップ3に入るほどのタレントの質と量を持っているわけではないが、少なくともプエルトリコや韓国といった第2グループと同程度の戦力は有している。物事がいい方向に進めば、快進撃もあり得ると考えていた」
中南米のベースボールに精通するベテラン記者にとって、メキシコの躍進はまったくの想定外ではなかったのだ。