新たな力も加わって競うフィギュア世界選手権 さいたまスーパーアリーナで新たな伝説が生まれる

沢田聡子

挑戦のプログラムを完成させたい現世界女王・坂本花織

坂本花織はグランプリファイナルのリベンジなるか 【写真は共同】

 女子は、昨季世界選手権を制した坂本花織に連覇の期待がかかる。今季前半は調子の浮き沈みがあり、グランプリファイナルでもショート首位に立ったもののフリーで崩れ、総合5位に終わっている。しかし全日本選手権ではさすがと思わせる強さをみせ、ショート・フリーとも1位の完全優勝を果たした。今季は表現面での挑戦をしており、ショート・フリーとも新しい振付師に依頼。シーズン当初は苦労したと思われるプログラムも仕上がってきており、さいたまスーパーアリーナでは大きなジャンプとリンクをいっぱいに使うスピード感あふれるスケーティングをみせてくれるだろう。

 四大陸選手権を二度制した実力を持つ三原舞依は、難病や体調不良に悩まされる競技生活を送ってきた。北京五輪シーズンの昨季は全日本選手権のフリーで思いもよらないミスをおかして4位に終わり、五輪代表から漏れる苦い経験もしている。しかし、今季はグランプリシリーズで2連勝、進出したファイナルでも優勝し、ついに世界一の座についた。全日本選手権でも昨季の悪夢を払拭する演技をみせて2位に入り、世界選手権代表に選出されている。自らの人生を振り返るショート、従来とは違う情熱的な表現をみせるフリーで異なる魅力をみせる今季、一番の大舞台で日本の観客に最高の演技を届けたい。

 渡辺倫果は、初の世界選手権出場となる。当初はエントリーしていなかったグランプリシリーズに2試合出場することになり、初戦のスケートカナダでは優勝を果たした。グランプリファイナルにも進出して4位に入り、世界選手権代表に選ばれている。武器であるトリプルアクセルを決めて、大躍進の今季をハッピーエンドで締めくくりたいところだ。

 海外スケーターで表彰台を狙えそうなのは、昨季世界選手権銀メダリストであり今季グランプリファイナルでも3位に入っているルナ・ヘンドリックス(ベルギー)、シニアデビューシーズンにファイナル銀メダルを獲得したイザボー・レヴィト(アメリカ)か。

 ペアでは、昨季の世界選手権で銀メダルを獲得し、今季はグランプリファイナルで初めて世界一の座についた三浦璃来/木原龍一が、優勝候補として臨む。昨季の世界選手権で優勝したアレクサ・シメカ・クニエリム/ブランドン・フレイジャー(アメリカ)と頂点を競う展開が予想される。

 アイスダンスは、グランプリファイナルを制したパイパー・ギレス/ポール・ポワリエ(カナダ)と、四大陸選手権優勝カップルのマディソン・チョック/エバン・ベーツ(アメリカ)が優勝候補か。昨季に続いて出場する日本代表の村元哉中/高橋大輔は、トップ10入りを目指す。

 さいたまスーパーアリーナで行われる世界選手権の忘れがたい記憶が、今大会でも新しく加わることを期待したい。

2/2ページ

著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント