ド派手な演出、人気YouTuberとのコラボ… Vリーグ・東京GB「8142人」最多入場者数更新の裏側
バレーボールの試合でライブのようなド派手な演出
試合も白熱したが、試合前の演出も会場のボルテージを高めた 【©V.LEAGUE】
選手入場時には暗転したコートを雲海に見立てたスモークや、5色のレーザーが彩り、炎や火花も舞う。「大物外国人アーティストのライブ2日分の規模と予算」というのも決して大げさではない演出は大いに見ごたえがあった。
そして会場を埋め尽くす観客に後押しされ、試合そのものも演出以上の盛り上がりを見せた。前半からサーブで攻め、劣勢になっても諦めるのではなく次のチャンスが来るまで耐え、ブロックとレシーブの連携やシステムを超えた驚異的な粘りを発揮。8位の東京グレートベアーズに対し、6位と上を行くジェイテクトの強打にもひるまなかった。
たび重なるラリーで好レシーブを連発、チームを統率するだけでなく、リベロとして守備面のリーダーでもある古賀は「データもあるけれど、自分のフィーリング、直感が冴えていたので必要以上の情報を入れずに、相手がやってきたことに対応できると思っていた。培ってきた経験、直感を信じた」と言う。敗れた試合ではラリーを展開しながらも決定打を欠いてきたが、5日の試合では自らのスパイクで得点を重ねたアウトサイドヒッターの戸嵜嵩大も「自分の長所である攻撃力を活かすために、とにかく思い切り、ひたすら攻めた」と話し、その源になった応援の力に感謝を述べた。
「僕は(日本)代表経験もアンダー(カテゴリー日本代表)の経験もない。テレビで見る歓声、ハリセンの音、自分が憧れていた舞台に立てたという感覚でした。こんな雰囲気、環境が毎試合続いたら、バレーボールは夢のあるスポーツになると思います」
課題もあるが、チームは大きな夢を描く
運営だけでなくあえてもっと広い視野で見れば、来季以降はただ集めるだけでなく、その内訳にも着目しなければならず、見せることを重視した投資がどれだけ収益として回収できるか。運営だけでなく順位も含めた成績も、当然ながら今季以上の結果が求められるのがプロの世界だ。
だが、山積された課題を「まだこんなにやることがある」とマイナスに捉えるか、「こんなにできることがある」とプラスに考えるか。むしろ先が見えないからこそ、描く未来は自由で、課題の数ほどチャンスがあるはずだ。
古賀が言った。
「可能性を広げるというコンセプトのもと、バレーボール界が叶えられなかった大きな夢を叶えて行こう、と発足したチーム。ただ言うことは可能でも、見る、やることは難しい中で1つ、本当にこれだけのお客さんが集まってくれたというのは素直に嬉しかったです。今日のこの(入場者数の)数字で、Vリーグが少しずつでも盛り上がっていくことがまさに自分たちが果たすべき役割でもあるし、1つ1つの夢を叶えていくために行動し、体現する。今日来ていただいたお客さんが『また来たい』と思って帰ってくれたなら、それだけでも今日、自分たちが戦い抜いた意味があったと思います」
ワクワクする未来を描き、変わることを恐れず、前へ――。バレーボールには、それだけ多くの魅力と可能性がある。「8142」の数字は、これからにつながる希望だ。