男子バレー、ミドルの熱いマッチアップに注目 代表主力や昨季ブロック賞、42歳レジェンドも躍動

田中夕子

日本代表の躍進につながっているミドルブロッカーのレベルアップ

日本代表でも活躍するミドルブロッカー、JT広島の小野寺太志 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 男子バレー日本代表は東京五輪でベスト8進出を果たし、昨年の世界選手権もベスト16で敗れたものの、東京五輪を制したフランスとフルセットに及ぶ、互角の戦いを繰り広げた。その背景には、自国のフランスやポーランドといった世界の強豪国で指揮を執り、世界のスタンダードを日本でも当たり前として植え付けたフィリップ・ブラン監督の存在もさることながら、今季もイタリアでプレーする石川祐希、髙橋藍、昨季は西田有志がイタリアで、関田誠大がポーランドリーグに在籍したように、海外でプレーすることで視野や意識を変える選手が軸となっている現状も大きい。

 そして、もう1つ加えたいのが、長年日本代表にとって課題とされたミドルブロッカーが成長を遂げたことだ。まだまだサイズやスピード、パワー、相手ブロックと対峙しながらのスパイク技術や、ブロックスキルなど世界トップレベルと比べれば課題も多い。だがスパイクの本数、出現率も増え、ブロックも決定本数のみならずブロックタッチの本数は確実に増え、サイド一辺倒の攻撃ではなく、抑えるべきコースを防ぐブロックが日本の武器になり始めたのも事実だ。

42歳になっても、攻守に高いパフォーマンスをみせる堺の松本

42歳の松本慶彦(堺)はVリーグでの通算試合出場記録を更新し続けている 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 山内、髙橋に加え、小野寺太志(JT広島)、村山豪(ジェイテクト)、佐藤駿一郎(東海大)など、攻守に渡りそれぞれの武器を持つ「個」に注目すべきミドルブロッカーが台頭する中、日本国内に目を向けると、忘れてはならないレジェンドがいる。

 この1月に42歳となり、Vリーグでの通算試合出場記録を更新し続ける松本慶彦(堺)。28日に山口県で行われたJT広島戦では、小野寺の攻撃を封じ、上回る攻撃力、衰えぬスピードを見せつけた。大型ミドルが台頭する中「自分はサイズがない。自分独自のやらなきゃいけないことを意識してやり続けてきた」という松本の姿に脱帽するだけでなく、その活躍から新たな刺激を得たのが、他ならぬ小野寺だった。

 フルセットでの惜敗後、本意には程遠い自らのパフォーマンスを振り返るだけでなく、悔しさを味わったからこそ見据える、自らがあるべき姿をこう示した。

「(堺)ブレイザーズと対戦する時は、松本さんを決めさせないことが大事だし、ミドルブロッカーとしては松本さんより決めること。全部においてあの人の上をいかないとダメだと思います。でもそれは松本さんだけじゃなくて、他のすべてのミドルブロッカーよりも優れているところをアピールしないと日本代表のコートには立てない。コンビの精度、キルブロック、ブロックタッチ、サーブ、ディフェンス、すべてにおいてまだまだ自分は足りていない、という思いが強くあります」

 翌日の29日はまさに体現するとばかりに、15本中10本を決めスパイク決定率66.7%、3本のブロックを決めた小野寺の活躍もあり、3対1でJT広島が勝利。ここでもまた、見ごたえのあるミドルブロッカー対決が、試合の勝敗にもつながる結果となった。

 終盤の激闘を制しプレーオフ進出を果たすのはどのチームか。勝敗はもちろんだが、そのカギをミドルブロッカーが握る。目立たずとも、着実に。そんな姿にも、ぜひ注目してほしい。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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