男子バレー、ミドルの熱いマッチアップに注目 代表主力や昨季ブロック賞、42歳レジェンドも躍動
日本代表の躍進につながっているミドルブロッカーのレベルアップ
日本代表でも活躍するミドルブロッカー、JT広島の小野寺太志 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
そして、もう1つ加えたいのが、長年日本代表にとって課題とされたミドルブロッカーが成長を遂げたことだ。まだまだサイズやスピード、パワー、相手ブロックと対峙しながらのスパイク技術や、ブロックスキルなど世界トップレベルと比べれば課題も多い。だがスパイクの本数、出現率も増え、ブロックも決定本数のみならずブロックタッチの本数は確実に増え、サイド一辺倒の攻撃ではなく、抑えるべきコースを防ぐブロックが日本の武器になり始めたのも事実だ。
42歳になっても、攻守に高いパフォーマンスをみせる堺の松本
42歳の松本慶彦(堺)はVリーグでの通算試合出場記録を更新し続けている 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
この1月に42歳となり、Vリーグでの通算試合出場記録を更新し続ける松本慶彦(堺)。28日に山口県で行われたJT広島戦では、小野寺の攻撃を封じ、上回る攻撃力、衰えぬスピードを見せつけた。大型ミドルが台頭する中「自分はサイズがない。自分独自のやらなきゃいけないことを意識してやり続けてきた」という松本の姿に脱帽するだけでなく、その活躍から新たな刺激を得たのが、他ならぬ小野寺だった。
フルセットでの惜敗後、本意には程遠い自らのパフォーマンスを振り返るだけでなく、悔しさを味わったからこそ見据える、自らがあるべき姿をこう示した。
「(堺)ブレイザーズと対戦する時は、松本さんを決めさせないことが大事だし、ミドルブロッカーとしては松本さんより決めること。全部においてあの人の上をいかないとダメだと思います。でもそれは松本さんだけじゃなくて、他のすべてのミドルブロッカーよりも優れているところをアピールしないと日本代表のコートには立てない。コンビの精度、キルブロック、ブロックタッチ、サーブ、ディフェンス、すべてにおいてまだまだ自分は足りていない、という思いが強くあります」
翌日の29日はまさに体現するとばかりに、15本中10本を決めスパイク決定率66.7%、3本のブロックを決めた小野寺の活躍もあり、3対1でJT広島が勝利。ここでもまた、見ごたえのあるミドルブロッカー対決が、試合の勝敗にもつながる結果となった。
終盤の激闘を制しプレーオフ進出を果たすのはどのチームか。勝敗はもちろんだが、そのカギをミドルブロッカーが握る。目立たずとも、着実に。そんな姿にも、ぜひ注目してほしい。