工藤公康が考える「良いリリーフ投手」の条件 データで表せない「気持ちの強さ」とは?
横浜時代にはリリーフとしても活躍した工藤氏。自身の経験を交え、「良いリリーフ投手と は?」について解説する 【写真は共同】
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ますます高まっているリリーフ投手の重要性
昨シーズンのパ・リーグ最優秀中継ぎ投手賞は、同じ西武の平良海馬と水上由伸がホールド ポイント「35」で分け合った 【写真は共同】
オリックス 2.96(3.33)
ソフトバンク 2.72(3.09)
西武 2.31(3.59)
楽天 3.09(2.75)
ロッテ 3.46(3.24)
日本ハム 3.83(3.14)
※()は 2021年シーズンの数字
先発が試合を作ることができるかという点も、勝利、優勝のために必要な要素のひとつですが、分業制が進んだ今、5〜6回を投げた先発投手と同等、もしくはそれ以上に「相手を抑える可能性が高い投手が後ろに控えているか?」が非常に大切なファクターになっています。
リリーフ投手は様々なシチュエーションでの登板が予想されます。少ない点差、ピンチの場面、ワンポイントなど、状況に応じて登板し、その時に求められている結果を残すために登板します。
先発投手とは違い、リリーフ投手はその日のバッターと1打席勝負になります。相手の状態やその試合の状況なども考える必要がありますが、投球という点で考えれば、相手打者を抑えるための球威や決め球を持っているかが重要になります。
良いリリーフ投手の条件とは?
DeNA の山崎康晃のように、ボールの質以外にもクイックやフィールディングも良いリリ ーフ投手の条件になる 【写真は共同】
いろいろな考え方はあるかと思いますが、私は、「9回裏2死満塁カウント3ボール2ストライクで投球できるボールが、自分自身の持っている球種だ」と先輩から教わりました。その中で決め球を選択し、勝負をする。楽天の松井裕樹投手のスライダーや、ソフトバンクの藤井皓哉投手のフォーク、モイネロ投手のカーブ、チェンジアップ、巨人の大勢投手のフォークなど、昨季活躍したリリーフ投手は、決め球にもなる球威のある真っ直ぐと、勝負ができる変化球をコントロールできていた印象があります。
プラスしてリリーフ投手というのは、攻撃側からすれば、ほとんどのケースは1イニングで攻略をしなければいけません(ロングリリーフを除く)。そうなった際に、攻略の糸口が掴めない投手というのも、リリーフ投手としては素晴らしい能力です。攻略の糸口というのは、単に打たれない・四球率が低いという点以外にも様々な要素があります。例えばランナーを出しても、クイックが速い投手やフィールディングの上手い選手は、その先の失点に結びつきにくいケースがあります。DeNA の山崎康晃投手や西武の平良海馬投手はクイックが速く、盗塁されにくいなどの特徴があります。
フィールディングが上手い投手であれば、バントをしたい場面で相手にプレッシャーを与えることができます。投球以外の部分でも、攻略の糸口を与えない投手かどうか注目しても面白いのかもしれません。