いち早く第100回箱根駅伝を展望、旋風を巻き起こすのは? 来年の正月決戦の行方はいかに
2年生世代に好選手がそろう青山学院大
4区で競り合う駒大の鈴木芽吹(左)と青学大の太田蒼生 【写真は共同】
3位に沈んだ青学大は今回4年生が9人エントリー。出走メンバー7人が卒業する。3年生の出場は佐藤一世のみで、来季は戦力的に少し苦しい状況だ。それでも太田蒼生(2年)が前回(3区で区間歴代3位)に続いて今回(4区を区間歴代3位)も快走した。エースになれる素材は十分にある。前回5区3位の若林宏樹、今回8区5位の田中悠登、スピードのある鶴川正也ら2年生世代に好選手がそろうだけに、どこまで“浮上”できるのか。
6位の早大は3区で8人抜きを演じた井川龍人が卒業するも、今回の経験者8人が残る。石塚陽士(2年)が2区(区間10位)、伊藤大志(2年)が5区(区間6位)を務めるなど主要区間を2年生が経験したのも大きい。さらに6区北村光(3年)は区間3位と快走した。期待のルーキー山口智規が出場できなかっただけに、花田勝彦・駅伝監督2年目となる来季は上位争いに加わるだろう。
順天堂大はエース三浦龍司(3年)が花の2区で区間12位と伸び悩み、前回4区を2位と好走した石井一希(3年)も区間15位と低迷。今回はチグハグな戦いになってしまった。5位のメンバー5人が卒業するも、スーパールーキーが加入する。佐藤圭汰(洛南、現・駒澤大)が保持していた5000mの高校記録を約9秒も塗り替える13分22秒99をマークした吉岡大翔(佐久長聖)だ。昨年12月の全国高校駅伝3区でも佐藤が持っていた日本人最高記録を大幅更新。エース三浦とともにスピードを磨いて、箱根路で旋風を巻き起こせるか。
東京国際大は強力なケニア人留学生が入学予定
8位の創価大はフィリップ・ムルワ(4年)、4区嶋津雄大(4年)、葛西潤(4年)らが卒業。戦力的には大幅ダウンするが、全日本大学駅伝でもシード権を獲得している。1年生に石丸惇那、野沢悠真ら好選手が揃うだけに、来季は経験を積む年になりそうだ。
東洋大は2区終了時19位から盛り返して10位でフィニッシュ。18年連続シードを死守した。今回エントリーから漏れたエース松山和希(3年)が2区にカムバックできれば、定位置である“トップ3”を目指す戦いができるだろう。
9位の城西大はルーキー斎藤将也が2区を務めて区間15位。来年はもっと期待できる。ヴィクター・キムタイ(1年)は3区で区間11位と振るわなかったが、初めての駅伝で苦労した部分があるだろう。5区山本唯翔(3年)は1時間10分04秒の区間新記録。「山の妖精」が現れたことで、2024年大会は台風の目になるかもしれない。
シード権には届かなかったが東海大も面白い。エース石原翔太郎が2区で区間4位と快走して8人抜きを披露。花岡寿哉(1年)も3区で区間6位と好走した。今回はエントリーから外れたが前回5区2位の吉田響(2年)が加われば、往路で上位争いが十分できる。
学生ランナーたちの1年間の成長は計り知れないものがあるし、筋書き通りにならないのが箱根駅伝だ。第100回記念大会はどのようなドラマが待っているのか。いまから楽しみで仕方ない。