198センチの二刀流FWが2ゴール 日大藤沢・森重陽介の持つ「スペシャルな可能性」
森重の2得点で日大藤沢が1回戦突破
198センチの大型FW、森重(左から3人目)が、2ゴールで日大藤沢を勝利に導いた 【写真は共同】
2得点を挙げたのが森重陽介だ。森重は清水エスパルス入りが内定していて、大会前から注目度が高かった。ただこの選手は「こういうタイプ」と一言で言い切るのが難しい。超大型FWといえば前線で構える“電柱タイプ”をイメージしがちだが、前半の森重はDFラインの背後を突くフリーランニングが多かった。
13分の先制点は右からのショートクロスに対して、プルアウェイ(膨らんで弧を描く予備動作)からDFを剥がしてシュートを打つための“ズレ”を作るストライカーらしいフィニッシュだった。右足のボレーシュートはDFに弾かれたが、上空に浮かんだこぼれ球を頭で押し込んでみせた。
「相手のCBはそんなにサイズがなかったし、セカンドボールの反応に早く行けた。GKも出ていたので、ファーに流し込むだけでした」(森重)
※リンク先は外部サイトの場合があります
2得点に加えて「多彩な動き」も見せる
個人的にもっとも驚かされた強みはロングキックだ。流れの中で右サイドの深い位置まで引いてボールを受けて、1ステップで逆サイドまで展開した場面があった。ゴールキーパーは別だが、プロでもこれだけ飛ばせる選手は珍しい。
森重は試合後にこう語っていた。
「前半に何回か落ちて、展開するプレーができた。真ん中で落ち着いてターンしてさばく、1枚剥がすのは自分の武器。ロングキックは得意なので落ちて展開する、スイッチを入れるような試合中の変化は心がけています」
DF2枚の上からヘディングを叩き込む
持ち味の高さを存分に生かし、DFの上からヘディングシュートを叩き込んだ 【写真は共同】
「もう少し森重にピンポイントに合わせていけるのではないか? という話をハーフタイムにしました。あいつは高さのことばかりいうと『僕には足元もあります』と言う難しいやつですけど(笑)でも高さは生きるよねと話をしたら、要望通りに取ってくれました」
後半3分の2点目は右SBアッパ勇輝のクロスに、ファーから飛び込んで合わせたもの。相手DFが2人ゴール前に入っていたが、その「上」から叩き込む圧巻のヘッドだった。
しかも森重はFWとDFの二刀流だ。日大藤沢には有竹翔吾という能力が高い控えFWがいて、こちらも183センチの長身。日大藤沢はリードを奪うと「有竹をFWに入れて、森重をCBに下げる」という定番の選手起用を用いる。西原戦でも後半14分、CBに変わって有竹が起用され、森重はCBに移った。
交代直後のプレーで森重は足を攣(つ)ってしまい、CBとしてのプレーは1分足らずに終わった。二刀流の披露は、2回戦以降のお楽しみとなる。