元同僚・村上宗隆に見えた国を背負う覚悟 内川聖一が語るWBC優勝へのポイントは?
独特な空気の韓国戦「緊張すんなー」
侍ジャパンは1次ラウンドから韓国と対戦。韓国は今回も並々ならぬ闘志で戦いを挑んでくるだろう 【写真は共同】
どの国も必死でしょうが、やっぱり韓国戦は、試合前の雰囲気や相手から感じるエネルギーみたいなものはすごくて、受け過ぎないように心を保つことに必死でした。第2回大会は5度も戦いましたからね。周囲が作る日韓戦ならではの独特な雰囲気を選手が感じ取って、余計に負けられないというか、「緊張すんなー」とはいつも思っていましたね(笑)。
――過去を振り返ってみても、大差の試合は多くない印象です。接戦を見据えた時に、まずは投手陣が試合を作ることが大事になってきます。
今回の日本はピッチャーのレベルは世界的に見てもすごく高いと思う。ボールの違いで感覚がズレることもあると思いますが、普段通りの投球スタイルが出せれば、そうそう打たれることはない。大量点はなかなかイメージしづらいので、取れるところでどんな形でもいいから点を取れるか。所属チームだと「打ってもいいよ」となっていた選手が、もしかしたらバントなどを求められることが出てくると思います。
――野手陣ではやはり、ヤクルトで一緒にプレーされた村上選手にかかる期待は大きくなってきます。
自分が22歳の時にどうだったかなと思うと、本当にすごい。スワローズを背負っているという意識は当然ありますし、もはや日本も背負っているくらいの覚悟も11月の強化試合で見えました。良い意味で落ち着きもある。もちろん勝ち負けは勝負の結果としてありますが、後悔がないようにベストを全部出してほしいですね。
――大谷選手や鈴木選手も入ってくる打線は、考えただけで楽しみです。
ワクワクしますよね。こういう大会になると、“観客の数だけ監督がいる”というのがすごく分かる。誰がどこに入っても打線になる。最終的に栗山監督がどんな判断をするのか。実際に見た時は「すげー」と思うんでしょうね。
日本国民はサッカーW杯のような歓喜を求めている
サッカーW杯での日本代表の活躍に感動した内川聖一は、「喜んでくれる国民の姿を想像して頑張ってほしい」と侍ジャパンの選手たちを激励する 【写真提供:ポリバレント株式会社】
武器にはなりますよね。全員がベストの状態でいることは難しいので、いろんなポジションを守れる選手はすごく大事になってくる。普段あまり守らないポジションだったとしても、代表候補に入っている選手たちは「こういう可能性もあるな」と考えて動ける選手ばかり。自分がどういう役割を求められているかを理解しているはずです。
――11月の強化試合でも、本職ではないポジションを守る選手もいました。
一塁と二塁をどうするのかというのは、ひとつのポイントになってくるとは思います。あと外野でも近本(光司)選手がレフトを守ることもありましたし。可能性としては塩見(泰隆)選手がライトやレフトをやるという選択肢もあると思います。いろんなパターンを組めるようにはなると思いますが、その分選手たちがやらなければいけないことは増えてきますよね。
――いつもなら3月下旬のペナントレース開幕に合わせるところですが、3月頭にベストコンディションを持ってくるとなると、早めの調整も必要になってきます。
僕の場合は、どんどん調整を前倒しにしました。オフはない意識でしたね。この時期は、自分の中でやれることを常にやり続けていた感じです。状態を上げていくには打席数が欲しいタイプだったので、チームにも協力してもらいました。例えばキャンプ中のシート打撃で、みんなが1打席だとしたら、僕だけ2打席立たせてもらうこともありました。
――最後に、世界一を目指す後輩たちにエールをお願いします。
サッカーW杯で日本がドイツとスペインに勝って盛り上がったのを見ると、やっぱり国民のみなさんはこういうものを求めているんだなと。勝つことを期待されて戦いの場に立つことはすごく厳しくて難しいところもあるんですけど、その選手の姿に喜んだり、悔しがったり、感動したりしてくれるファンがいると思って頑張ってほしい。将来プロ野球選手を目指す子どもたちのためにも、栗山監督を胴上げする姿を、僕もファンのみなさんと一緒に喜びたいです。
(企画構成:スリーライト)