連載:元WBC戦士は語る―侍ジャパン優勝への提言―

元同僚・村上宗隆に見えた国を背負う覚悟 内川聖一が語るWBC優勝へのポイントは?

小西亮(Full-Count)

11月の強化試合で今季までヤクルトで一緒にプレーした村上宗隆を見て、内川聖一は「国を背負う覚悟」を感じたと話す 【写真は共同】

 春が待ち遠しい。来年3月に開幕する「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」に挑む野球日本代表「侍ジャパン」は、早くも“史上最強”の声すら聞こえてくる。野球史を塗り替え続ける大谷翔平投手(エンゼルス)をはじめ、ダルビッシュ有投手(パドレス)、鈴木誠也外野手(カブス)とメジャーリーガーの参戦が決定。国内でも、史上最年少で三冠王に輝いた村上宗隆内野手(ヤクルト)を筆頭に、投打にタレントが揃う。

 豊富すぎる人材から誰を選び、どんな野球を展開するのか。栗山英樹監督の手腕にも注目される。国と国のプライドがぶつかり合う極限状態で繰り広げられる短期決戦。長いシーズンとは異なる戦い方も求められる。2009年以来の悲願へのカギは? 2017年の第4回大会まで3大会連続で出場した内川聖一内野手(大分B-リングス)に聞いた。

超積極的に打ってWBCで高打率をマーク

WBCで高い打率を残してきた内川聖一が打席で意識していたこととは? 【写真は共同】

――WBCでは、通常のシーズンとはまったく違う難しさがあると思います。

 対戦相手のデータは頭に入れていきますが、その通りにならないことが少なくない。バッターの立場で言うと、相手ピッチャーの変化球が思っていた曲がり方をしないとか。どうしても対戦する前は映像で見る機会しかないので、どこまでデータを信用するのかという難しさはありました。

――初見の投手が多いなかで、内川選手は第2回大会で打率.333、第3回大会で打率.348をマークしています。


 僕の場合は、相手の様子を見るというより、コースや高さ、球種などをある程度絞って、狙いに近い球が来たら思い切って振っていく気持ちでした。どんどんカウントが進むと、自分の立場が厳しくなる感じがして。有利なうちに勝負をつけるくらいの気持ちで、超積極的に打とうと。逆に追い込まれた時は、投手には球数制限もあるので1球でも多く粘ろうとは考えていました。

――使用するボールも違います。

 打つことで言うと、真芯からちょっとズレた時はいつもより飛ばない感じがしました。ちょっとのズレが大きい気はしましたね。守備での送球に関しては、とにかく高投だけはやめてくれと言われていました。上にすっぽ抜けそうなら、ゴロになってもいいから内野手が捕れるところに投げてくれと。それくらい極端な割り切りがあってもいいんだと勉強させてもらいました。

――大物メジャーリーガーが参戦する米国はもちろん、第3回大会優勝のドミニカ共和国や2大会連続で準優勝のプエルトリコなど中南米の国も手強そうです。

 中南米のチームは、一度火がつくとどんどん来るというのはありましたね。ただ、日本には日本の良さがある。勢いに乗っている投手にいかに多く投げさせるかとか、チーム全員で勝っていくという意識は優れていたと思います。各国には、それぞれの良さがあるというのを感じました。

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著者プロフィール

1984年、福岡県出身。法大卒業後、中日新聞・中日スポーツでは、主に中日ドラゴンズやアマチュア野球などを担当。その後、LINE NEWSで編集者を務め、独自記事も制作。現在はFull-Count編集部に所属。同メディアはMLBやNPBから侍ジャパン、アマ野球、少年野球、女子野球まで幅広く野球の魅力を伝える野球専門のニュース&コラムサイト

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