ヤニスを覚醒させたキッドの手法 ヤニス~無一文からNBAの頂点へ~
ヤニス(左)とキッドHC(右)の師弟関係には、緊張感が生まれることもあった 【Gettyi Images】
NBA記者のザック・ロウがその二面性をうまく表現している。「どんなポゼッションでも、グリーク・フリークは何も知らないと同時に、全てを知っているように見える。彼は空っぽの器でありながらも、瞬きをした次の瞬間には近代バスケットボールの構想を体現するような存在になる」。
「彼はプレイしながら学んでいるんだ」とロウは続けた。「その結果は、崇高なものから恥ずべきものまで、あらゆる形で現れた」。
プレイオフまであと5試合ほどという頃、ヤニスは練習で大いに苛立ちを感じていた。1オン1のクローズアウトドリルで何度も失敗していたのだ。キッドの練習で最も難しいドリルの一つだった。ディフェンダーはフリースローラインに立ち、3ポイントラインに立つオフェンスの選手を止めにいく。ディフェンダーは相手のドリブルコースを塞ぎ、スリーを打たせてはいけない(つまり何も打たせてはいけない)。選手たちは相手を止められるまで、何度も挑み続けなければならなかった。
ヤニスはオフェンスでは28回連続で得点し、圧倒的だった。しかし、ディフェンスでは全員がヤニス相手に得点した。まるで止められなかった。ある時点で、彼はフリースローラインに立ち、息をつきながら、動こうともしなかった。彼はブチ切れていた。キッドが終わらせてくれないことに気付き、彼は足を動かし始めた。クローズアウトには気持ちがこもっておらず、弱々しいものだった。一本止めるまで、15分もかかった。
キッドはただ見ていた。怒鳴るでもなく、叱るでもなく。ただ見続けた。そして翌日のフィルムセッションまで彼を晒し者にするのを待った。キッドはヤニスが力強くクローズアウトすることができていないそのドリルの動画を流した。ヤニスは全員の前で、自分がどれだけやる気のない動きをしているのかを見せられた。キッドは一言も喋らない。喋る必要が無かった。恥ずかしさがヤニスの身に染みた。彼は理解し、キッドに謝罪をした。もう二度と繰り返さないと。
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