日本がドイツやスペインに勝利した以上の意義 短期連載「異例づくめのW杯」をゆく
アジアサッカーのターニングポイント」となったカタール大会
韓国のラウンド16進出が決まった瞬間、チームやサポーターはもちろん記者たちも大喜びだった 【宇都宮徹壱】
とりわけ目を引くのは、アジア勢が3カ国もラウンド16に進出したことである。過去の大会で、アジアの複数の国がグループステージを突破したのは、過去に2回。2002年の日韓大会と10年の南アフリカ大会で、いずれも日本と韓国のみである。今回はこの両国に、オーストラリアが加わった。オーストラリアのラウンド16進出は、2006年のドイツ大会以来。ただしこの時は、アジアではなくオセアニアからの出場だった。
アジア躍進の背景を考えた時、ヨーロッパ勢の不振を無視するわけにはいくまい。最も大きな理由は、11月開催による過密日程と準備不足、それらに起因する怪我人の多さであろう。加えてもうひとつ、個人的に指摘したいのが「UEFAネーションズリーグの弊害」。欧州55カ国の「内輪」でのマッチメークを4年間続けてきた結果、異文化サッカーとの真剣勝負の場がなくなり、ぶっつけ本番のW杯で対応しきれなかった側面も少なからずあったのではないか。
いずれにせよ、今大会は「アジア勢の躍進」というトピックスが、後世に語り継がれることは間違いない。そして、アジアのトップランナーとなったのが、われらが日本__。実は前日のコラムで、きちんと言及しておきたかったのが、まさにこのことであった。
スペイン戦に勝利、2大会連続16強入りを果たした日本代表選手たち 【Getty Images】
12月3日から始まるラウンド16では、オーストラリアはアルゼンチンと、韓国はブラジルと、そして日本は前回準優勝のクロアチアと対戦する。元日本代表監督のイビチャ・オシムさんがご存命なら、どんな感想を漏らしただろうか。そして日本がベスト8の壁を打ち破った暁には、準々決勝が日韓戦となる可能性さえあるのだ。妄想だって? いやいや、これまでにも信じられない出来事が、何度も起こっているカタール大会。決してありえない話ではないと思う。
そんな夢想を懐きながら、当連載は今回をもって終了となる。なぜなら本稿を入稿後、私は帰国の途につくからだ。猛暑のドーハから師走の東京に戻ったら、今度は皆さんと一緒に「いちファン」として、日本代表に声援を送ることにしたい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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