ジョーカーか、先発か。プレミアで覚醒中の三笘薫、カタールW杯での先発を「諦めていない」【インタビュー】
日本代表での起用法。三笘の考えは。
W杯開幕を目前に控え、日本国内では三笘(一番左)の起用法をめぐって熱い議論が交わされている 【Photo by Hugo Pfeiffer/Icon Sport via Getty Images】
ジョーカー派は、試合終盤の切り札として三笘をベンチに残しておくべきと訴える。代表を見渡しても三笘ほど単独突破に優れる選手は他にいない、というのが彼らの主張だ。
対する先発派は、プレミアで活躍中の三笘をスタートから使わない手はない、といった意見。飛び抜けた能力があるのだから、試合終盤まで温存することなくスタートから使うべきという考えだ。
そもそもこうした議論について、三笘自身はどう感じているのだろうか。本人に単刀直入に聞いてみると、こう答えた。
「どんな議論をされてもいいです。議論されなくなった時点で、選手として終わりですから。むしろ、嬉しいですね。
起用法は、監督によっても変わりますし、チームの考え方によっても変わります。試合展開などのシチュエーション、または対戦相手によっても変わります。今、代表ではサブから始めることが多いので、そこは受け止めるしかないと思っています」
三笘の考えは、極めてシンプルだ。途中出場、先発のどちらであっても、第一にあるのは日本代表の勝利である。「もちろん日本のために戦うことが一番大事です。サブであることにストレスを抱えているわけではありません」と、フォア・ザ・チームの精神を貫く。
だが、本人は先発を諦めてはいない。目標は先発でピッチに立ち、自身のゴールで日本代表を勝利に導くこと。プロ選手である以上、そう考えるの至極当然だ。ブライトンで上昇気流に乗っている今、日本代表でも間違いなく有力な先発候補となるだろう。三笘は言う。
「エクアドル戦で存在感を出し切れなかったところが、今の評価につながっていると思う。ただ、日本代表で(W杯までに)あと1試合あります。全然まだ諦めていないというか、そういう気持ちはあります。
先発だと守備を求められるところが多い。自分は攻撃が特徴的な分、そういうところで相対的に見ている人は多いと思います。でも、そこで攻撃と守備のどちらもできる選手がトップになっていく。自分としては、伸びしろがあっていいかなと考えています」
17日に行われるカナダとの強化試合、そして代表のトレーニングのなかで最大のアピールをしていくと決意を口にした。
ジョーカーの流儀
三笘は川崎F時代からスタメン、またあるときはジョーカーとしての役割をまっとうしてきた 【Photo by J.LEAGUE】
三笘には途中出場の流儀がある。出番に備えてタッチライン際でアップを行なう際、闇雲に体を温めるだけではなく、マッチアップするであろうDFの癖に注目しているという。守備に定評のあるイングランド代表DFキーラン・トリッピアーをドリブルでぶっちぎったニューカッスル戦や、同代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドに鋭い突破で尻もちをつかせたリバプール戦。いずれも、アップ中から彼らの動きに目を光らせていた。
「味方のアタッカーがボールを持ったときに、DFがどういう姿勢でいるか。またそのアタッカーが縦に行った時に、DFのスピードを見たりしています。自分も選手なので、味方のアタッカーと比べれば相手の速さは分かるので」
限られた出場時間であっても、力を出し切ることも徹底している。「全部出し切るというか。自分が持っているものを出し切ること、そして試合の流れを考えてプレーすること」を意識してピッチに入るという。途中出場から殊勲の2ゴールで2-0の勝利に貢献し、日本代表をカタールW杯に導いた今年3月のアジア最終予選オーストラリア戦も同じマインドで臨んだ。