59歳で現役レフェリーの吉田寿光 W杯予選のミスがあったからこそ、笛を吹き続ける
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ピッチのミスはピッチで取り返す
劇的な展開で横浜FMが逆転完全優勝を飾った03年のJ1最終節。吉田にとってもお世話になった先輩の副審のラストゲームだった 【J.LEAGUE】
「体育の先生なので、卒業式の司会の役割があるし、入試の採点もしないといけない。校長先生に『こういう大会の通知が来ているんですけど、行けますか?』と聞いたら、『卒業式の司会や入試の採点は他の先生でもできますが、クウェートで笛を吹ける審判員はあなたしかいない。だから、行ってらっしゃい』と背中を押してくれたんです」
周囲の理解は、吉田の努力の賜物でもあった。月曜から土曜まで授業を受け持ち、サッカー部を指導する。土曜のナイトゲームでJリーグの審判を務めると、日曜の午後にはサッカー部の練習試合の指揮を執り、また月曜を迎える――。Jリーグのレフェリーを務めながら、本業を疎かにしなかったからこそ、快く応援してもらえたのだろう。
しかし、そんな二足の草鞋を履く生活も終わりを迎えることになる。トップレベルの審判員が審判活動に専念できるように、02年からプロフェッショナルレフェリー(当時はスペシャルレフェリー/SR)制度が導入されたのだ。
02年に岡田正義と上川のふたりがSRになると、03年には吉田もSRになった。
「01年に審判委員長の高田静夫さんから『来年から日本でもプロの審判制度が始まりますが、どうですか?』と言われて、『やれるのでしたら、やりたいです』と即答しました。家に帰って妻にも報告して、『もう少し考えてよ』と言われるかと思ったら、『あなたの好きなことをやればいいんじゃない』と受け入れてくれたんです」
実は吉田には、W杯に出場したいという夢があった。
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