次に、体格をもとに注目の投手をピックアップしてみよう。

　上の図はNPBのドラフト入団選手、IPBLの日本国内出身選手の平均的な身体形態をプロットしたものだ。

　基本的に野球は球速やスイング速度が速い方が有利となりやすく、大雑把にいえば体格が大きく筋肉量のある方がより球やスイングのスピードは出しやすい。実際にこのプロットでもNPBのチームは身長が高く体重が重い。選手の絶対数に差があるとはいえ、茨城がNPBのチームの平均よりも大柄であることは興味深い。一方で今季からIPBLに加盟したHFLの士別、石狩、美唄の3チームは体格が小さく、まだ発展途上といえそうだ。

　この視点からすると、体格の大きい選手、特に成人後に伸ばしづらい身長が高いことはメリットである。昨年は193センチの宮森が楽天に育成ドラフトで指名されたが、今年はどうか。

　上の表はドラフト指名のボリュームゾーンである24歳以下を対象に、投手を身長順に並べたものだ。何度も登場している玉置は身長も190センチで、体格の視点でも有力候補といえる。

　この中では150キロ超を計測している渡辺明貴（茨城）、中山晶量（徳島）に特に注目したい。また、トップ10ではないためこの表に入っていないが、187センチと左腕では最も身長が高い小林亜由良（徳島）も気になる存在だ。リーグ戦では全く投げていないが、果たしてサプライズ指名があるだろうか。

　最後に、IBLJとBCLに比べて歴史が浅いKALとHFLからも4投手をピックアップする。KALからは西島篤（火の国）、大江海透（北九州）、HFLからは長大聖（美唄）、木村優太郎（士別）だ。

　西島は150キロ超の速球と縦の変化球が売りのリリーフ右腕、大江はストレートとスライダーを武器とする迫力十分の左腕で、今回はスポーツナビ上にそれぞれ火の国サラマンダーズの馬原孝浩監督、福岡北九州フェニックスの北方悠誠コーチから選手紹介のコメントが届いている。

　将来性という点ではHFLの長と木村も楽しみだ。長は8月以降のリーグ戦で4連続完投勝利を記録。打者としても活躍するなど、シーズン後半に存在感を増した。美唄に入団する前は北海道大学で軟式野球をしていた異色の経歴で、まだ身長に対して体重が軽く、体格面でもさらなる成長が期待される。

　グランドチャンピオンシップへの進出を決めた士別サムライブレイズの木村には、かつて近鉄で長距離打者として活躍したラルフ・ブライアント監督からも大きな期待がかかっており、こちらもメッセージが届いているのでチェックしてみてほしい。

　以上、IPBLのドラフト候補をピックアップした。今回は1球毎のデータ、トラッキングデータの使用ができないため球速や球種の詳細な情報は出すことができず、成績や体格からの推測が主となった。

　ただ、各リーグでは試合の配信を行っており、これらの選手の映像は動画サイト上でみることができる。また、一部の選手はスポーツナビ上に動画が載っているので、ぜひドラフト前に実際の映像でプレーを確かめてほしい。