パリ五輪の金狙うバドミントン「シダマツ」ペア 2週連続の悔し涙、そこから得たものとは?
最大の経験は、大舞台のプレッシャー
前進はなかったと感じたかもしれないが、得るものがなかったとは思えない。むしろ、パリ五輪の金メダルを目指すにあたっては、避けて通れない大きな課題に、ようやく向き合えた。
志田は、自国開催の2週間を振り返り、次のように話して目を潤ませた。
「世界選手権では本当にたくさんの方が(会場に)入っていて、このタイトルを取りたいという気持ちでコートに入っていました。1回戦から最後まで結構硬くて、どこかで緊張してしまったり、どこか(点数を早く)欲しがったりして、自分たちを出し切れなかった。本当に五輪とか上の(舞台で戦う)人たちは、こういう緊張感とかプレッシャーを背負いながら試合をしているんだなと。その大きさをすごく感じたんですけど……」
この2週間で得た最大の経験は、イメージしてもし切れない、予想を大きく超えるプレッシャーを味わったことだ。日本のエースとして臨む、金メダルを取りに行くという姿勢で大きな舞台に臨めたことで、体験しなければ分からないことを知ることができた。
一足飛びにはいかない、コロナ禍による経験不足というハンデ
日本の女子ダブルスは、パリ五輪でも、東京五輪に続いて1カ国最大2枠の出場権を、3組以上で争う可能性が高い。9月6日更新の世界ランクで日本勢最上位の4位となった志田/松山が、その中の有力候補であることに変わりはない。今季のワールドツアーランクでも4位につけており、12月のワールドツアーファイナルズに出場できれば、また大舞台での経験を積むことができる。
日本での2週間で一足飛びに世界の頂点に立つことはできなかったが、23年5月に始まるパリ五輪出場権獲得レースに向け、これからも様々な経験を積み上げることが何よりも重要だ。2週連続で流した悔し涙が糧になった――金メダルを手に、そう振り返れる日が来るように、2人は走り続ける。