不調が続く桃田賢斗、シード失う可能性を覚悟「現状がしっかり出てくる」

平野貴也

約1カ月でランキングポイントが35%減

19年の世界選手権優勝など、多くのポイントを失う桃田。今後の大会でベスト8のシードに入れない可能性が出てくるかもしれない 【写真は共同】

 ダイハツ・ヨネックスジャパンオープンを終えた段階で、桃田の世界ランキングポイントの内容を見てみると、ランキングに反映される上位成績10大会分の6大会が2019年の成績であることが分かる。内訳は、最もポイントが高い世界選手権の優勝(1万3000点)、次に高いBWFワールドツアースーパーファイナルズ、BWFワールドツアースーパー1000の優勝(1万2000点)、3番目に高いスーパー750の優勝(1万1000点)が2つ、スーパー500の優勝(9200点)が1つと、これ以上の組み合わせがないほどの高得点。このポイントが10月4日までに失効を迎える。代わりにポイント上位10大会に加えられる成績のうち、最もポイントが高いのは、21年全英オープンのベスト8で6600点。

桃田の現在のランキングポイントは、11万904点だが、7万2304点に下がる見込みで、現在の世界ランク11位相当になる。2ケタまで落ちると、グレードの高い大会でベスト8のシードに入れない可能性が出てくる。

次戦は10月中旬からの欧州2連戦

 日本A代表の次戦の予定は、10月18日開幕のデンマークオープンと翌週のフランスオープン。ともに、ジャパンオープンと同じワールドツアースーパー750で高いポイントが設定されている。

 ただ、桃田は8月のオンラインインタビューで「ランキングは、今はあまり気にしていないですね。それよりも、相手どうこうよりも、自分のプレーに集中して、自分にしっかり力をつけていければいいかなと思っています」と話しており、ポイントやランキングのことは考えず、プレー内容の改善に集中する構えを示していた。ランク急落、シード喪失といった動きに捉われず、その姿勢を貫くことが重要だ。

 世界選手権前には、得意としていたレシーブの改善に取り組んだが、約2年半ぶりの国内有観客試合で動きに硬さを感じたという。翌週のダイハツ・ヨネックスジャパンオープンでは「リラックスして、上手くいかなくても、とりあえず自分のプレーを出し切ろう、失点してもいいから自分が思ったところにしっかり打とうと思ってコートに入った」と以前のようなバランスの良い球回しを見せた。ただ相手の強打に対する反応は鈍く、押し切られてしまった。打球反応のスピード感、プレーの連続性が出てくるかどうかが復調の鍵となりそうだ。

 日本に限らず、各国でいまだ桃田の人気は高い。圧倒的なコントロールでラリーを支配するプレーの復活を、世界が待ち望んでいる。

※掲載時に「ランキングの対象となる成績上位10大会に、同一大会のポイントを複数計上することはできない」と記載しましたが、コロナ禍における特例により21、22年分の複数計上が行われており、誤りでした。該当の記述および数字を修正しました。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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