アスリートを成長させた苦い経験 アスリート対談 VOL.3
【スポーツナビ】
今回は同大会を盛り上げるべく、プロ野球の中日~巨人で活躍した井端弘和さん、元バレーボール女子日本代表の大山加奈さん、ボートレース甲子園に埼玉県代表として出場する佐藤翼選手によるスペシャル対談が実現。さらに、佐藤選手の奥様で現役ボートレーサーの土屋南選手も応援サポートで参戦し、豪華なアスリート4名でトークは賑やかに盛り上がった。
第3回のテーマは『魔物』。アスリートたちが『魔物』に取りつかれた結果、“やってしまった”経験談について語ってくれた。
魔物に出会えたことで成長できた
佐藤 失敗したことといえば(VOL.2で語った2012年9月の)「新鋭王座決定戦」のフライング。あれは、本当に自分の人生を変えたんですね。あのとき、すごい邪念が入ったんですよ。「これを優勝したらSGに行ける権利が出る」とか「(賞金)一千万もらえる」とか・・・。もうそんなことばっかり考えながら(スタート位置に)進入していたんですよね。それで、いざスタートするとなったときに、1秒間違えたんですよ。もう大ごとなんですけど、気づいたときにはフライングしちゃってました。そのときに、(レース前に)こういうことを考えたらフライングするんだと思いました。
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佐藤 めちゃくちゃフワフワしてました。だから、最後の最後まで気を抜いちゃいけないんだなというのも感じましたし。
DJケチャップ (フライングして以降は)丁寧にやろうという風にして、行動は変わりましたか?
佐藤 だいぶ変わりました。チャンスを掴むための準備だけはしておこうという心構えをするようになりました。そのレースから学びました。
DJケチャップ 2012年の失敗が、後のG1初優勝に結びつくわけですもんね。
佐藤 ところどころSGで活躍して、段階を踏んでいく中で、その経験は生きているという風に思いました。
DJケチャップ じゃあ魔物に出会えたことで、自分がさらに成長できたという良い経験でしたね。
夢を叶えたいと思ったらふさわしい人になる
大山 私は学生時代、小・中・高と全国制覇をしていまして。小学生で優勝したときに、身長が175cmあったんですね。
DJケチャップ 小学生で?
大山 一躍『バレー界の金の卵』みたいな扱いをされまして、ちょっと調子に乗ってしまったところがあったんですね。その中で選んだ中学校に進学したんですけど、なかなか勝てなかったんです。中学校3年生のラストチャンスしか残ってないという状況で、「なぜ勝てないんだろうか?」「どうしたらラストチャンスで優勝できるんだろうか? 日本一になれるんだろうか?」と必死に考えたんですね。そこで中学生ながらに気がづいたことがありまして。「私が日本一にふさわしくない人間だからだ」と。授業中も先生に反抗したりとか。
一同 えー?
大山 中学生特有のありません?
DJケチャップ 大山加奈さんをよく知ってますけど、そんなキャラクターじゃないんですけどもね。
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DJケチャップ いやー、この話、全国の中学校に講演で行けますね。じゃあいわば魔物に出会ったというか、自分自身の心の中に魔物が棲みついてしまったというパターンでしたかね。
大山 そうですね。心も体も未熟な時に、一気に注目を浴びてしまったりとかすると、やっぱり難しいですよね。