Bリーグ2021-22CS特集

2度目のBリーグ王者となった宇都宮ブレックス エースの爆発と勝者のメンタリティー

勝負どころでエースの比江島が爆発! 宇都宮が2度目の戴冠

勝負を決定づけるシュートを決めた宇都宮の比江島 【(C)B.LEAGUE】

 続く第2戦、先手を取ったのは後がない琉球ではなく、優勝に王手をかけた宇都宮。ディフェンスで仕掛けながらオフェンスは多彩なシュートシチュエーションを作り、第1クォーター残り7分16秒の鵤誠司(宇都宮)の3ポイントで0ー9となったところで、琉球はタイムアウトを取らざるを得なかった。その後は琉球にも思い切りの良いシュートが出始め、宇都宮の得点ペースも落ちるが、立ち上がりの点差を埋めるには至らず、12ー21で第1クォーターを終える。

 琉球はドウェイン・エバンスのダンクで第2クォーターをスタート。しかしこれも反撃ののろしとはならず、琉球が点差を詰めれば宇都宮がすかさず取り返し、逆に宇都宮が点差を広げればすぐに琉球が点差を戻すといった拮抗(きっこう)した状態が続く。どちらも状況を打開できないまま、前半は30ー38と宇都宮がリードを保った。

 第3クォーターに入ると一度は琉球が2点差まで詰め寄るが、宇都宮も鵤のバスケットカウントなどで同点は許さない。しかし、レギュラーシーズンでも劣勢を度々跳ね返した琉球はここからディフェンスの強度を上げ、宇都宮は前半1つも犯さなかったターンオーバーを連続で犯した。そして残り1分29秒のエバンスのバスケットカウントでついに琉球が逆転。フィーラーの3ポイントで宇都宮が再びリードするが、最後の10分を残して54ー55と勝負の行方は全くわからなくなった。

 それでも、運命を分ける第4クォーターは宇都宮の勝負強さが際立った。早々にリードを7点まで戻し、再び一歩抜け出す。一時10点まで開いた点差を縮めたい琉球も、岸本の3ポイントとアレン・ダーラムのバスケットカウントで2点差に迫るが、宇都宮は比江島と鵤の得点で突き放す。残り1分を切って今村の3ポイントで再び2点差となると、直後に比江島がバスケットカウント。三度2点差となっても比江島がフリースローを計3本沈め、最後も比江島がスティールからレイアップを決めて勝負あり。75ー82で連勝を収めた宇都宮が5シーズンぶりの戴冠となった。

かけがえのない経験を積んだ琉球の来季に期待

琉球の桶谷HCは「この経験がキングスにとってかけがえのないものになる」と前を見据えた 【(C)B.LEAGUE】

 コート上の優勝インタビューで安齋竜三ヘッドコーチは「琉球さんは最強のチームだと思っていました。相手がそういうチームだったからこそ、自分たちは実力以上の力を発揮できた」とまず琉球を称賛した。そして、昨シーズンまで主軸を張った選手が複数抜けたことも踏まえた上で「(田臥)勇太をはじめとして、試合に出る出ないにかかわらず全員が一つになってやってくれた。その結果どんどん成長していって、このCSで最高のチームになったと思います」とシーズンを通してのチームの進化を誇らしげに語った。

 開幕節で昇格初年度の群馬クレインサンダーズに連敗するというよもやのスタートとなった今シーズン。主軸が抜けた穴は思いのほか大きかったと誰もが思ったに違いない。しかし、試合を重ねながらチームは着実に強さを取り戻していった。ジョシュ・スコットが「アップダウンのあるシーズンだったが、そこから学んで成長できたシーズン。一番重要な時期にしっかりとピークを持ってくることができて、ベストなチームを作ることができた」と胸を張るのも、勝者のメンタリティーを備え、強固な土台を持つ宇都宮のカルチャーがあってこそだ。

 一方、「まずは宇都宮の皆さんに『おめでとうございます』と言いたい」と相手をたたえた琉球の桶谷大HCは「結果こそ出ませんでしたが、この場に立たせてもらったことに感謝したい。この経験がキングスにとってかけがえのないものになる。またここに戻ってきたいと思います」と語った。思えば、宇都宮も昨シーズンはファイナルの舞台で涙を飲んだ。その経験があったことは、今回の優勝にも少なからず結びついているに違いない。ファイナル敗退の経験を経て一回り強くなった琉球が、また来シーズンも大暴れすることを期待したい。

構成/バスケットボールキング編集部

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