柏の若きエース・細谷真大が目指すもの 「ハリー・ケインのような質と落ち着きを」

飯尾篤史

オールラウンドなFWになりたい

3月のドバイカップではサウジアラビアとの決勝でCKから値千金の決勝点をマークした 【松尾祐希】

――柏のネルシーニョ監督からのアドバイスで、特にためになったものはなんですか?

 裏抜けに関しては、ネルシーニョ監督からしつこく要求されてきたので、自分の中に染み付いてきました。言われていなかったら、今の自分のスタイルは築けていないと思うので、本当に感謝しています。

――昨年、「1トップはあまり得意ではない」と話していました。ただ、U-21代表は4-2-3-1や4-3-3で戦うことが多く、柏と違って2トップの形は決して多くありません。苦手意識は変わってきましたか?

 1トップは今でも難しいと感じています。2トップだとパートナーと連係したり、コミュニケーションを取ったりしやすいんですけど、1トップだと孤立してしまう時間があるんですよね。そういう時間をどう解決していくか。レイソルでも1トップをやるときがあるので、1試合1試合を大事にしながら、挑戦していきたいと思っています。

――ドバイカップやここまでのキャンプを通して、このチームの強みはどこだと思いますか?

 ドバイカップではチームとして結果を残せました。苦戦したとしても勝ち切れるというのは、ポジティブに捉えていいと思います。特にセットプレーで点が取れたことは、強みになっていくと思います。

目指しているのはA代表入り

ここまでJ1で6ゴールをマーク。5月29日の清水戦でのゴールは裏抜けから左足での巧みなゴールだった 【写真は共同】

――チームを率いる大岩剛監督の印象は?

 ネルシーニョ監督に似ているな、と思いました。自分に対して守備や得点、裏抜けを要求するところなど、似ている部分はけっこうありました。

――ドバイカップではクロアチアに1-0、カタールに2-0、サウジアラビアに1-0と無失点で大会を終えました。チームの守備力については、どう感じていますか?

 大岩監督は前線からの連動した守備を求めるので、チーム全体でハメにいこうという意識を共有しています。自分も後ろの指示に従いながら、ボールを追いかけていこうと思っています。

――個人的にはそのドバイカップで、ゴールもアシストもマークしました。国際大会を経験して、どんな感触をつかみましたか?

 自分自身、国際大会に出場するのが初めてだったので、どうなるかな、と思っていたんですけど、少しは結果を残せたので、自信を持っていいのかなって。日の丸を背負って戦うということで責任を感じましたし、日本を代表して戦うことは誰もができることではないので、誇りを持って結果を求めていきたいと思っています。

――U23アジアカップのグループステージでは、UAE、サウジアラビア、タジキスタンと対戦します。このグループの印象や、気になるチームはありますか?

 難しい戦いになると思います。特にドバイカップのサウジアラビアは本当に強かった。UAEやタジキスタンはよく分かりませんが、簡単に勝てる相手ではないと思うので、気を引き締めて戦いたいです。

――このU-21日本代表は24年パリ五輪でのメダル獲得を目指しています。細谷選手のキャリアにおいて、パリ五輪はどんな位置付けですか?

 本大会のメンバーに選ばれることは大前提として、自分が目指しているのは、パリ五輪に出るだけではなく、A代表に入っていくこと。今のままではダメだと思っているので、もっと貪欲にやっていきたいです。

――昨夏の東京五輪はご覧になりましたか? どう感じました?

 世界の強豪国と互角に戦えていたのは、すごいなと感じました。東京五輪を見ていて、自分も日の丸を背負って戦いたいという思いが強くなりましたね。

――では最後に、U23アジアカップに臨むうえでの気持ちを聞かせてください。

 チーム全体としては優勝しか目指していないので、それに貢献できるように、自分自身は結果にこだわって戦っていきたいと思います。

(企画・編集/YOJI-GEN)

細谷真大(ほそや・まお)

2001年9月7日生まれ、茨城県出身。柏レイソルA.A.TOR'82からU-15、U-18と昇格。高校3年生だった19年シーズンにトップチームに2種登録され、3月30日のJ2・東京ヴェルディ戦でリーグデビュー。7月3日の天皇杯・いわてグルージャ盛岡戦でゴールを決めた。20年シーズンにプロ契約を結び、2年目の21年シーズン、28試合出場3得点と出場機会を大幅に増やした。これまでは年代別代表とは縁がなかったが、U-21日本代表ではエース候補として期待されるストライカー。
大会情報
AFC U23アジアカップ2022
グループステージ第1戦
UAE代表 vs 日本代表
6月3日(金)22時キックオフ
DAZN独占配信

2/2ページ

著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント