柏の若きエース・細谷真大が目指すもの 「ハリー・ケインのような質と落ち着きを」

飯尾篤史

柏の生え抜きである細谷真大。プロ2年目の昨季、出場機会を大きく増やし、今では前線の核となるなど急成長を遂げた 【スポーツナビ】

 プロ3年目にして柏レイソルの前線の軸として起用されている。その期待に応えるように、細谷真大は試合を重ねるごとにプレーの幅を広げ、5月29日には今季6ゴール目をマークした。スピードとフィジカルを備えたオールラウンドのストライカー。U-21日本代表のエースとして「AFC U23アジアカップ ウズベキスタン2022」での活躍を期待される男の横顔に迫る。

覚悟を持って19番を背負っている

――昨季はリーグ戦28試合に出場して3得点でしたが、今季はすでに4ゴール(※5月10日時点。その後2点を決めた)をマークしています。どんな手応えをつかんでいますか?

 レイソルで試合に出続けられている、ということが去年と大きく変わった点だと思います。責任はすごく感じているので、毎試合覚悟を持ってプレーしているつもりです。ただ、もっと取れるチャンスがあったので、ゴール数はもっともっと伸ばしていきたいです。

――ここまでの4ゴールのうち、3つは1タッチでのシュートで、もうひとつはドリブルで持ち込んだものでした。気に入っている得点を挙げるとすると?

 名古屋(グランパス)戦(3月20日)のゴールですかね。ドリブルで持ち込む形はもともと得意なんですけど、プロになってから、そういうゴールがあまり取れていなかったので。あのゴールは本当にうれしかったです。

――今季はふた桁ゴールを目標に掲げているそうですね。

 そうなんです。自分もプロ3年目なので、結果を残さないと生きていけない。高い目標を立てて、それを成し遂げたいという思いがあります。

――昨季は飛躍のシーズンになりましたが、一方で3得点という結果には、物足りなさや不甲斐なさも残った?

 3得点というのはFWとしては絶対的に少ないので、正直、悔しい気持ちも強かったです。

――その覚悟が19番という背番号に表れていると思います。35番から変更した背景を聞かせてください。

 レイソルの19番はエースと呼ばれる人たちが背負ってきた番号なので、覚悟を持ってこの番号を付けています。僕の中では工藤壮人選手が付けていた印象が強くて、たくさんのゴールを決めていたイメージがあるので、自分も結果を残さないといけないと思っています。

――19番や9番、いわゆるストライカーの番号に憧れもある?

 憧れているわけではないんですけど、付けてみたいという気持ちはありましたね。

相手に「嫌だな」と思わせるプレーを

オールラウンダーを目指す細谷の憧れはハリー・ケイン。シュートの質が高い万能型のストライカーだ 【写真:ロイター/アフロ】

――昨年10月のU23アジアカップ予選では9番を背負ってゴールを決めた姿が印象に残っていて。そうしたら今年3月のドバイカップでは11番だったので、「あ、9番じゃないんだ」と思っていたんです。

 自分で選んだわけではないんですけど、もともと11番も好きな番号だったので、特に気にしていませんでしたね(笑)。

――勝負のプロ3年目、自身のプレー面における変化は、どのように感じていますか?

 前線からの守備は昨年以上にこだわってやっています。そこはネルシーニョ監督からも強く求められていて、やれないと試合には出られない。もちろん、うまくハマらないときもありますけど、日々、修正しながらトライしています。

――瞬時の加速が細谷選手の武器だと思いますが、一方で、そうした守備面における持久力も備えている。瞬発力と持久力の両方を併せ持つ選手って、あまりいませんよね?

 そう言っていただけるのはうれしいんですけど、1歩目の加速は、自分ではまだまだだと感じていて。ただ、その2つは間違いなく自分の武器なので、もっと磨いていきたいと思います。

――スピードやドリブル、ポストプレーといった足下にボールがあるときのプレーは、以前からの強みですが、今季は裏抜けや周りを使うプレーなど、やれることが増えていますね。

 まず自分が考えていることは、相手に「嫌だな」と思わせるプレーをすること。ディフェンスラインの選手からすると、裏抜けを狙っている選手は厄介だと思うので、そこは妥協せず、狙い続けていきたいですね。

――細谷選手はなんでもできるFWというか、オールラウンドなストライカーという印象があります。

 オールラウンドというところは、まさに自分でも意識していて、なんでもできるのが理想像です。だから、得点はもちろん、アシスト数ももっと増やして、そう見られるように頑張りたいと思います。

――そうしたプレースタイルにおいて、お手本にしている選手はいますか?

 ハリー・ケイン選手(トッテナム/イングランド代表)ですね。自分の中で相当推していて、プレーをよく見ています。ゴール前での質や落ち着きはすごい。ああいう風になりたいなって思っています。

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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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