連載:村田諒太vs.ゴロフキンの行方

「楽しんでいいんだ」村田諒太が見せた笑顔と涙 激闘を終えて両雄の行く末

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ゴロフキン戦は村田の“最後”となるのか

試合終了後、リング上で健闘を称え合う両者 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 ゴロフキンは2010年に自身が初めて世界タイトルを勝ちとり、19度の防衛を果たしたWBAのベルトを奪還。そして、かねてより噂されていた現スーパーミドル級4団体統一王者のカネロことサウル・アルバレス(メキシコ)との3度目の対戦に前進する形となった。

 陣営側は今後について「全ての可能性はあると思う」とアルバレスとの再戦に言及。「5月の終わりまで様子を見てみたい。今は世界中の移動が厳しい状況だが、入国や出国がOKになれば、もっといろいろな可能性が出てくると思う」とした。3月にゴロフキンvs.カネロ第3戦合意の報道が出た後、ゴロフキンはこの質問をされるたびに「村田戦に集中している。彼は偉大なチャンピオンだ」と返答し、アルバレス戦についての明言を避けてきたが村田戦をクリアした今、ゴロフキンは40歳にしてさらなる高みへと歩みだすことになる。

 一方、村田サイドの帝拳ジム・本田明彦会長は「たぶん勝っても負けても最後だと思ってやったと思う。またやるとは言わないと思う」と村田の“最後”を匂わせながらも「アイツのことだから『またやります』とか言うかも。(もしそう言ったら)どうぞ勝手に」と笑顔を見せた。

 村田は「トップオブトップの戦い。そこにたどりつきたい」とかねてより語り、追い続けてきたビッグマッチを実現させた。その経緯を「自分の強さを証明したかった。中学生の時に逃げ出す弱い自分だったり、北京五輪で勝負できないまま終わってしまった自分がふがいなくて」と振り返った。そのうえで「ちゃんと人に向かっていく、自分自身を律して恐怖に向かっていったんだ、自分自身を乗り越えたんだっていう気持ちを得たいと思ってやってきた」と明かした。

 村田本人は今後の去就について明言を避けたが、自らに問うてきた質問への答えは見つかったのだろうか?その答えを探す旅がまだリングの中で続くことを願いたい。

(取材・文:草田吉篤/スポーツナビ)

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