連載:堀米雄斗「いままでとこれから」

堀米雄斗、待ちに待ったアメリカ移住 絶対王者のアドバイスでSLSアジア人初V

堀米雄斗
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思っていたよりも孤独な新生活

アメリカに移住し、孤独を感じたこともあったが、スケボーができることが楽しかったので、日本に帰りたいと思うことはなかったと言う 【株式会社KADOKAWA】

 高校でアメリカのデッキカンパニーのスポンサーがついたり、大会で結果を残せたりしたことで、アメリカへ移住する環境が整い、卒業後は予定通りアメリカへ移住することができた。

 場所は、憧れのプロスケーターが多く住んでいる街、ロサンゼルス。アメリカへ向かう出発の日は、行き慣れていたこともあって全然緊張はせず、とにかくワクワクしていた。

 最初はロサンゼルス市北部の街、バンナイズにあるミッキー・パパの家へ居候することに。

 リビングの端っこの3畳くらいに、マットレスを置いただけのスペースを間借りしてそこで生活をすることになった。まず大変だったのは食事。ご飯をどこで食べればいいのかわからず、毎食困った。

 少しして近所に〈デルタコ〉というファストフード店を見つけ、毎週火曜日は“タコチューズデー”で安くなるので、お金を節約するためによく通った。車もないので自分一人じゃ動けず、ミッキーがパークへ行くときについていき、一緒に滑っていた。

 最初はパークでスケーターに話しかけられても英語が話せず、もともと人見知りということもあって、家でもパークでも結構孤独な時間が多くて辛かった。

 でもそのうちとりあえず自分の名前を言って、何を話されても「OK」って答えていたら、「あいつ何もわからないのに、とりあえず“OK”って言うぞ」ってみんなにウケるようになった。

 それからは少しずつ友達もできるようになったし、孤独を感じてもスケボーができることが楽しかったので、日本に帰りたいと思うことはなかった。

 さらにアメリカのセクションやレールはサイズが大きく、パークの作りも日本とは違うので、アメリカサイズに慣れてくると新しいトリックを作ることができ、技のクオリティが高くなってきた。実はこの頃に覚えて、まだ出していないトリックもいくつかある。

憧れのストリートリーグ

 スケートボードの世界最高峰のコンペティションといったら、やっぱり「ストリートリーグ(SLS)」(※世界中のトッププロが集まる、スケートボードの最高峰の世界大会「STREET LEAGUE SKATE BOARDING」。通称「SLS」)で、小さい頃からずっと画面越しに見ていていつか出たいと夢見ていた。

 そんな憧れのSLS出場のチャンスが、移住後に思ったよりも早く訪れた。それはアメリカに移住してから初めて出たコンテスト、ブラジルのリオデジャネイロで4月に開かれた「Oi STU OPEN 2017」で優勝した後のできごとだった。

 ここで優勝したことで、SLSの創設者で元プロスケーター、TVの司会者としても有名な俳優のロブ・ディアデックの目に留まった。

「この日本人、SLSに出したらおもしろいんじゃないか」と、ロブ・ディアデックが推してくれたことでSLSに招待され、5月下旬にスペイン・バルセロナで行われた「SLS プロオープン」に出場できることになった。

 戦ったのはSLSで20回以上優勝経験がある絶対王者のナイジャや、憧れのシェーン・オニール(※アメリカ在住、オーストラリア出身のトッププロスケーター。チームライダーとして堀米が所属するデッキカンパニー〈APRIL SKATEBOARDS〉を立ち上げた人物)など数々のトッププロスケーター。ここで初めてナイジャとシェーンと競い、結果は1位のナイジャ、2位のシェーンに続きまさかの3位! 3位を獲れたことで、6月のミュンヘンで行われた「SLSワールドツアー」にも出場できることになり、そこではナイジャには負けたものの、2位を獲ることができた。

 しかしその後は予選落ちで、SLSリーグ戦での好成績を収めた上位8人が出場できる「SLS スーパークラウン」に出場することはできず、実力不足を実感。こうして2017年は満足する結果ではなかったけれど、移住してすぐに憧れのSLSに出場して結果を残せて、夢のような年になった。

 SLSはいままでの大会とはまったく違う緊張感があって、滑る前と技を決めた後の大歓声はどの大会よりも大きく、あのときの空気感は本当に忘れられない。

 そして2018年からは、もっと夢のようなできごとが続くことになる。
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