ジャンプに悪戦苦闘続く渡部暁斗 3大会連続メダル逃しLHへ「首の皮一枚」

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クロカンでは力走も予想外の猛追に

後続に逆転許すも一時は粘りを見せた山本。ジャンプ首位スタートも14位に終わった 【Photo by Cameron Spencer/Getty Images】

 2時間のインターバルを挟んで迎えたクロカンは1周2.5キロの周回コースを4周、10キロで争われる。山本が単独走でスタートし、その後ろ40秒前後に2位〜4位の3選手、さらに首位から1分10秒〜30秒以内に10選手が追いかけるという構図になった。どこまで山本が耐えられるか、そして渡部暁は集団走の中で順位を上げられるかというのがポイントになった。

 スタート直後から山本は後続に追いかけられ、38秒のリードはみるみる縮まっていく。「(今季は)自分で1人で走る展開が少なかったので、思った以上に力が(入ってしまった)。緊張していたんだろうと思いますし、もったいない」と後悔していたが、1周目を終える直前で後続集団に追いつかれ、5キロ付近までは耐えるもそこが限界。そこから順位を落とし最終的には渡部善斗との写真判定に敗れ山本は14位に終わった。

 一方で渡部暁は事前の予想通り、5位以下の集団に入ってレースを展開。5キロすぎまでは先頭と30秒ほどの差を残しつつレースを進めていた。だが、本人も「予想外」と語ったように、ジャンプで出遅れたビンツェンツ・ガイガー(ドイツ)がスイッチを切り替え、先頭集団との差を詰め、集団が縦になり始める。この展開に体力を削られたのか渡部暁の巻き返しはならず、7位でフィニッシュ。この種目での3大会連続メダル獲得とはならなかった。結果的にガイガーが1分26秒差をひっくり返す大逆転で金メダルとなった。

ラージヒルでの巻き返しは?

男子個人ノーマルヒルの競技を終え、引き揚げる渡部暁斗 【写真は共同】

 レース後、渡部暁は悔しさの残る結果だったにもかかわらずすっきりした表情で報道陣の前に現れた。「いい走りはできた」と振り返りつつ、そのあとには厳しい言葉が並んだ。

「(結果は)順当といえば順当」「7位という結果はメダルが取れなければ何位でも変わらない」「このコースは難しくない、単純すぎて実力がはっきりする」

 これだけ厳しい状態でもクロカンには可能性を感じているようで「走れもしなければ崩れてしまった。なんとか(15日の)ラージヒル(LH)へ首の皮一枚つながった」と現状を評した。

「若干、達観しているんですよね。自分が思った結果が出ずに悔しさを感じすぎて悔しさに麻痺(まひ)している。なんとかならないかな、神頼みの領域に入ってしまっている」「もう1回頭冷やしていいジャンプを」

 最後はまるで自分に言い聞かせるように取材対応を締めくくった渡部暁。過去2大会とは異なるスタートになった33歳のベテランはここから巻き返しなるか? 次は15日のLH個人だ。

(取材・文:石橋達之/スポーツナビ)

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