永田実が“実況席”と“観客席”で観るBリーグ お得感のあるイベントに家族も満足
ゲームも演出もますます注目のサンロッカーズ渋谷
クラブのマッチデープログラムにも色々と工夫が凝らされている 【写真:本人提供】
ホームの青山学院記念館は、骨董通りのほど近く。
コロナ禍さえなければ、「終わった後、どこでゴハン食べようかな」とゲーム前から前から思わず考えたくなってしまうような好立地だ。
しかし、『SHIBUYA』のお洒落な響きとは裏腹に、サンロッカーズがコート上で繰り広げるバスケットボールは熱く、激しく、泥臭い。
全員で出場時間を分け合い(というか、そうしないと体が持たないほど、とりわけフルコートのディフェンスがハード)相手ボールをスティールしまくり、
Bリーグにおいては秋田ノーザンハピネッツと並んで「バスケットボールの魅力は、ハードなディフェンスだ」ということを教えてくれるチームである。
アリーナが大学の施設ということもあり千葉のような派手な演出はできないが、年明けのホームゲーム初戦ではキャプテン・ベンドラメ礼生選手の発案のもと、トラ柄のゲームプログラムにチーム内相関図がプリントされたり、となかなかに楽しいアイデア勝負を見せてくれる。
今シーズンは大黒柱のライアン・ケリーが椎間板ヘルニアのため離脱中。
強豪との対戦では、どうしても劣勢を強いられることが多い。
しかし、東地区上位の千葉ジェッツとも川崎ブレイブサンダースとも2連戦では1勝1敗。
持ち前の全員バスケで1つは勝ってみせるのだ。
そして、試合中のベンチの様子や勝ったゲーム後のインタビューからも伝わってくるのだが、選手たちがとにかく、仲がいい。
観ているこっちが、思わずニコニコしてしまうほどである。
バスケットボールはコート上には1チーム5人。
その5人がコンマ何秒の判断を繰り返しながら動き続ける。
独特の『ケミストリー』という言葉に集約される、
攻守における連携の深化、以心伝心、フォロワーシップが不可欠だ。
当然のことながら、仲は悪いより良いに越したことはない。
サンロッカーズはその点、とても雰囲気がいい。
伊佐HCも人格者だ。
選手、スタッフから親しみをこめて『ムーさん』と呼ばれる伊佐HCのキャラクターもこの雰囲気作りに一役買っていることは間違いなさそう。
真剣勝負では激しく戦い、その汗も乾かぬうちに仲良さげにしている大人たちを見るのは、ともするとギスギスした空気に身を浸しがちな昨今、なんとも心地よい気分だ。