連載:セ・パ名捕手が選ぶ! 2022年期待の若手選手たち

里崎智也が期待するパ・リーグ若手野手5選 リチャードは松田宣浩を超えられるか

大利実
 史上まれに見る新人、若手選手の当たり年となった昨季。果たして今季はどの選手がブレイクするのか。野球解説者の里崎智也が期待している、パ・リーグの若手野手を厳選して紹介する。

紅林に次ぐブレイク候補の太田椋

ブレイク候補の太田椋。昨季のヤクルトとの日本シリーズには、第5戦、第6戦にセカンドで先発出場した 【写真は共同】

――今季ブレイクの期待がかかる、パ・リーグの若手野手を教えてください。

里崎 オリックスの太田椋です。昨年、中嶋聡監督が紅林弘太郎を我慢して使ったように、今年は太田をうまく使っていくと思います。昨季はセカンドで開幕スタメン。オリックスは安達了一の次の選手を育てなければならないので、その筆頭として名前が挙がる太田には大きな期待がかかるでしょう。

――太田は昨季53試合に出場し、打率.172、3本塁打、9打点。彼の魅力はどこに感じますか?

里崎 まだまだ粗削りですけど、当たったら飛ぶのは魅力です。課題は確実性。紅林に似たタイプだと思います。あとは守備がどこまで安定していくか。守備のミスが出たときに、中嶋監督がどこまで我慢して使い続けるのか。また、太田自身が積ませてもらった経験を成長につなげることができるのか、注目してみたいです。
――昨季ブレイクした紅林は高卒2年目のショートとして136試合に出場。打率.228、10本塁打、48打点という成績を残しました。

里崎 ホップ・ステップ・ジャンプの「ホップ」と考えたら、十分な成績です。終盤、いいところでも打っていました。ショートを育てなければならないチーム状況だったことも、紅林にとってはよかったと思います。

――太田にはどの程度の成績を期待しますか?

里崎 具体的な数字を挙げることはできませんが、少なくとも安達の成績(昨季は100試合出場、打率.259、0本塁打、18打点)は超えなければなりません。首脳陣に「我慢して育てよう」と思わせるためにも、そこは最低限クリアしなければならないところです。

リチャードは松田を超えられるか

昨季、大器の片鱗を見せたソフトバンク・リチャード。松田宣浩からサードのポジションを奪取できるか 【写真は共同】

――他にブレイクの期待がかかる選手はいますか?

里崎 ソフトバンクのリチャード(砂川リチャード)ですね。サードのマッチ(松田宣浩)がいい年齢(38歳)になってきたので、ソフトバンクとしては若手の台頭に期待したいところ。リチャードがうまくはまれば、チームの世代交代が一気に進むかもしれません。

――リチャードは昨季34試合に出場して、打率.181、7本塁打、20打点。飛ばす力は凄まじいものがあります。

里崎 破壊力がありますね。あとはオリックスの太田と一緒で、打撃の確実性を上げられるか。打率.250で20本打ってくれたら、申し分ないでしょう。これくらいの成績を残すことができる選手が6番に入ると、相手にとっては嫌なものです。昨季のマッチの成績が打率.234、14本塁打なので、レギュラーを掴むためにもこの成績は上回りたいです。

――ソフトバンクの若手にとって、松田のハードルは高いものでしょうか。

里崎 いくらリチャードに期待しているといっても、さすがに全試合サードで出場してもらうわけにはいかないと思うので、併用になるでしょう。一方、マッチにとっては踏ん張りどころです。年齢を考慮すると、マッチにこれ以上の伸び代を期待するわけにはいかないですから。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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