B1東地区展望 今年も強い千葉と宇都宮 昇格組の群馬&茨城、サプライズに期待

大島和人

B2のスーパーチームはB1でも躍進なるか

B2では“反則”レベルのプレーを見せたマイケル・パーカー。2年ぶりにB1に戻ってくる 【(C)B.LEAGUE】

群馬クレインサンダーズ

 新昇格の2チームはいずれも東地区に加わっている。群馬クレインサンダーズは52勝5敗でB2史上最高勝率を残し、プレーオフも制して昇格を決めた。B2史上に残るスーパーチームだった。

 昇格の立役者はマイケル・パーカーだ。現在39歳で、日本で既に14シーズンもプレーしたキャリアを持ち、日本国籍も取得している。勝負どころのスティールなど、流れを変えるビッグプレ―が多く、数字以上の貢献を果たしたリーダーだ。トレイ・ジョーンズは自ら切れ込み得点に絡む万能ウイングで、昨季のB2 MVP。ジャスティン・キーナンも含めて昨季のB2で猛威を奮った外国籍選手3名がチームに残った。

 新加入のオンドレイ・バルヴィンは217センチの超大型センターで、チェコ代表の主力。オリンピックでも活躍を見せていた。一方の日本人は多くが入れ替わったものの、笠井康平が残留している。タイトな守備で流れを変える献身的PGで、ゲームメイクの手堅さもある。大卒ルーキーの杉本天昇、菅原暉も期待値は高い。

 移籍組の目玉は五十嵐圭だ。41歳の大ベテランだPGが、新潟での活躍を見る限り「衰え」の兆候は皆無。3ポイントシュート、勝負強さといった強みに加えて読みが光る名手。アキ・チェンバースは高い運動能力、守備力を持つウイングで、3ポイントの威力もある。PF野本建吾も含めてB1級の人材は新たに加わった。

 しかし過去の新昇格チームを振り返ると、勝率4割を超えたチームがまだない。群馬がチャンピオンシップ出場、勝率5割超えを達成できればそれは快挙だ。
茨城ロボッツ

 昨季は東地区2位からプレーオフを勝ち上がって昇格を決めた。リチャード・グレスマンHCも含めて「既に日本で実績のある人材」をそろえ、それぞれが期待通りの働きを示した。

 外国籍選手はチーム最大の得点源だったチェハーレス・タプスコット、マーク・トラソリーニが残留。C/PFが任せられる人材として既にB2で4シーズンの経験があるエリック・ジェイコブセンが新たに加わった。ロールプレイヤーとして貢献の大きかった小寺ハミルトンゲイリーの移籍は痛手だが、アジア特別枠のフィリピン人選手ハビエル・ゴメス・デ・リアニョや、日本人ビッグマン谷口大智を獲得して埋めている。

 平尾充庸は4シーズンに渡ってチームのメインPGを務め、リーダーとしての役割も大きい選手。福澤晃平もB2では傑出したシューターだった。そこにB1経験のあるPG多嶋朝飛、SF西川貴之が加わり、過去の強みを引き継ぎつつ上積みも見て取れる。

 B1とB2のレベル差は明らかにあり、群馬と同じく苦しい戦いになるだろう。とはいえそれはクラブとして成長を遂げるために必要な産みの苦しみだ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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