B1東地区展望 今年も強い千葉と宇都宮 昇格組の群馬&茨城、サプライズに期待

大島和人

ファイナルコンビのロシター&サイズ加入のA東京

サイズ&ロシターと昨年のファイナルズで大活躍の2人を獲得したアルバルク東京 【(C)B.LEAGUE】

アルバルク東京

 途中で打ち切りになった2019-20シーズンの勝率1位、その前2シーズンを連覇していた強豪。昨季は東地区6位 と低迷しチャンピオンシップ出場を逃しているものの、今季は強烈な補強で優勝候補の筆頭に名が挙がる。名将ルカ・パヴィチェヴィッチも健在だ。

 補強の目玉はライアン・ロシターだ。リバウンドや得点の数字に限ってもB1屈指のインサイドだが、身体を張る献身性、セカンドボールへの執念など数字に出ない強みも持ち合わせるタイプだ。宇都宮ではチームのリーダーとしての貢献も大きかった。日本国籍を取得済みで、「3人目の外国出身選手」としてコートに立てる。

 セバスチャン・サイズの獲得もサプライズだった。長い腕を生かしたDFやリバウンドは圧巻で、ビッグマンらしからぬ機動力もある。アレックス・カークは昨季の終盤に腰を手術して、万全の状態で今シーズンに備えている。インサイドの充実ぶりはB1最高レベルで、特にリバウンドは大きく強化されたはずだ。

 日本を代表する3ポイントシューター安藤周人の加入も大きい。2019-20シーズンのMVP田中大貴はもちろん健在。また昨季はレバンガ北海道で活躍したPGジョーダン・テイラー の加入も決まった。PG安藤誓哉、竹内譲次の移籍はあったが、十二分に穴は埋まっている。
秋田ノーザンハピネッツ

 昨季は28勝31敗で惜しくも勝ち越しを逃したが、Bリーグ開幕後の最高成績を挙げている。

 秋田もハードなプレスをかける守備、タイムシェアでおなじみ。アレックス・デイビス、中山拓哉は昨季のスティール数がB1の上位に入っている。さらに三遠ネオフェニックスから加わった川嶋勇人は昨季のスティール王で、秋田は「強みをさらに強める」補強をした。

 昨季は3ポイントの成功率が20チーム中18位と低迷していたが、今季は秋田育ちの名シューター田口成浩が4季ぶりにチームへ復帰。またB2のライジングゼファー福岡で驚異的な攻撃スタッツを残していたSF/PFのジョーダン・グリンも獲得している。

 やや小柄なチーム構成だが、新加入のコルトン・アイバーソンは212センチの大型で、秋田の強みであるオフェンスリバンドへの貢献が期待できそう。秋田はスティール、オフェンスリバウンドといった強みを残しつつ、攻撃効率を伸ばす意図が見える補強をしている。
横浜ビー・コルセアーズ

 B1開幕から5シーズンで、20勝以上を挙げたシーズンがない。今季はチームの再建に手腕を発揮していたカイル・ミリングHCが退任。攻守の軸となっていたアキ・チェンバースの移籍も、戦力的には痛手だろう。

 ただし過去は入れ替えが極端に多かった外国出身選手が定着し始めているのは好材料だ。チェコ代表のパトリック・アウダ、レジナルド・ベクトン、帰化選手のエドワード・モリスが残留。HCにはビーコルをよく知る青木勇人氏が復帰し、チームのベースは整ってきた。

 新加入のレイトン・ハモンズはSFでのプレーも可能な、オフェンス力の高い選手。日本人選手はSF森川正明が攻撃面で大きな貢献を見せている。あとは生原秀将、森井健太の若手PGがどれだけステップアップできるかだろう。

 未知数ながら期待感が高いのは特別指定選手としてプレーするジェイコブス晶。アメリカ育ちで2020年12月に帰国し、U18でプレーしていた17歳だ。200センチの長身ながらスキルが高く、登録はPG/SG。アメリカ海軍の基地がある横須賀は、日本バスケにとって“鉱脈”となりつつある。
新潟アルビレックスBB

 変化を強いられるシーズンだ。2018-19シーズンの中地区王者に輝いた彼らだが、直近の2季は低迷。加えて今季はPG五十嵐圭が群馬、PG柏倉哲平とSF林翔太郎が滋賀、西田優大は三河と主力が移籍している。昨季は「パワハラ問題」による混乱もあった。

 そんな中でチームのトップスコアラーだったロスコ・アレンには大きな期待がかかる。208センチの長身ながらハンドラーとしての能力が高く、周りと噛み合えばもっと3ポイントの成功率、アシストといった数値も伸ばせるはず。新加入のジェフ・エアーズはNBA経験のある33歳のベテラン。既に4クラブのB1経験があり、日本への適応に不安はない。

 ロースターには5人の新潟県出身者がいる。bjリーグ時代から新潟のコートに立っている佐藤公威、池田雄一の両ベテランは今も頼もしい存在。新潟県出身、帝京長岡高出身の星野曹樹は195センチのPF。23歳で迎える今季はプレータイムを増やして、潜在能力を開花させて欲しい。

 平岡富士貴HCは選手やコーチとして新潟と縁があり、今季は5年ぶりの復帰。群馬クレインサンダーズでは常に“お値段以上”の結果を出し、昨季はB2を圧倒的な成績で制した名将だ。外国籍選手とベテランを軸とする戦いにはなるだろうが、シーズンを通して若手をステップアップさせていけるかが鍵になる。

昨年得点王のニックメイヨが広島へ移籍したレバンガ北海道。Bリーグでの実績もあるデモン・ブルックスに期待がかかる 【(C)B.LEAGUE】

レバンガ北海道

 B1開幕からまだ勝率が5割を超えたシーズンがなく、昨季は14勝45敗と東地区最下位だった。しかも今季は主力が流出し、B1得点王のニック・メイヨら3名の外国籍選手と、帰化選手のファイパブ月瑠がいずれも国内の他クラブに移籍している。北海道出身でチームに9年在籍し、キャプテン経験もある多嶋朝飛は茨城ロボッツに移った。

 ただPGは大ベテランの橋本竜馬がおり、さらに寺園脩斗が加入。また中野司、葛原大智、山口颯斗といった若手ウイング陣が台頭を見せており、上積みの余地はある。

 外国籍選手も昨季は韓国リーグの得点王だったショーン・ロングと、琉球と島根でインパクトのあるプレーを見せていたデモン・ブルックスが加入。献身的なプレーで周りを活かすダニエル・ミラーも4季ぶりに復帰しており、相応の期待感はある。

 加えて今季は日本代表のアシスタントコーチを務めていた“ミスターバスケットボール”佐古賢一がHCに就任。選手、コーチとしての実績は説明不要だが、学生時代から折茂武彦社長の親友で、レバンガの草創期にはチームの理事も務めていた縁もある。佐古HCが若手を鍛え、新戦力を融合させれば、成績は伸ばせるだろう。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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