桑田真澄のコーチとしての指導力 経験を生かして新たな自分を作り上げる

スポーツナビ

今季から慣れ親しんだ巨人のユニホームにそでを通した桑田真澄。自身が培ってきた経験や技術を後進に惜しげもなく伝えている 【写真は共同】

 一軍チーフコーチ補佐として15年ぶりに袖を通した巨人軍のユニホーム。数々の栄光とともに多くの挫折を味わってきた不世出のエース桑田真澄は、今季から新たな挑戦の日々を送っている。TBS『バース・デイ』(毎週土曜午後5:00放送)では、その様子を 9月11日、18日に密着番組として放送。息子Mattとの“親子テレビ初共演”も実現した今回、現役時代から長く取材を続け、家族ぐるみの親しい関係を続けてきたTBSの田中悦子プロデューサーに、“コーチ桑田真澄”の印象と息子Mattに通ずる指導法を聞いた。

13年ぶりの現場復帰、15年ぶりのユニホーム

 PL学園高校から1985年秋のドラフト会議を経てプロ入り。2006年までの21年間、巨人一筋を貫いた後、自らの夢と限界を追って海を渡った。その2シーズン目が始まろうとしていた直前の08年3月、桑田氏は現役引退を表明。その言葉は、TBS『NEWS23』のインタビューによって明かされた。その担当の一人が、田中氏だった。

「ちょっと話があるから、と。周りには泣いていた方もいて、本人も寂しそうではありましたけど、引退するという話をしてからはスッキリした顔をしていましたね。普段から優しい方ですけど、やっぱり選手時代は緊張感を保っていましたし、ピリピリしていた部分もあったと思います。そういう意味では、引退してからすごく柔らかくなったと感じます」

 そこから13年が経した21年1月12日、52歳となった桑田氏は、巨人の一軍投手チーフコーチ補佐として現場復帰を果たした。巨人のユニホームに袖を通すのは15年ぶりのことだった。

「本人も、そして家族のみなさんも、すごくうれしかったと思います。今まではいろいろとタイミング的なものもあって現場からは離れていましたけど、やっぱり野球が生きがいの人ですから」

コーチとしていろいろなことが求められる

指導者に求められる役割は選手時代とは異なる。桑田氏はどのような指導者になっていくのだろうか 【写真は共同】

 田中氏自身、桑田真澄のユニホーム姿に懐かしさを感じるとともに、旧友の立場としてうれしさも込み上げた。だが、「巨人軍コーチ・桑田真澄」に対しては不安の念も抱いていた。

「野球に対する知識も情熱もあって、すごくいい指導者になれると思いますけど、コーチという職業はいろいろなことが求められると思いますので……」

 プロ野球は他とは一線を画した特殊な世界ではあるが、世間一般の会社と同じく「組織」であることに変わりはなく、コーチには「上(監督)」と「下(選手)」の間を取り持つ中間管理職としての能力も必要になる。スター選手、特にマウンドの上では一人で戦うことになるエース投手は、いわゆる「一匹狼」の場合が多い。桑田氏も例に漏れず、現役時代は「自分」を貫きながら一人で生きてきたタイプだ。

「巨人のユニホームを着たのも15年ぶりですからね。スタッフや記者の方も含めて現場に知っている人も少なくて、桑田さん自身も不安はあったと思います。でも、今の生き生きとしている様子を見ると、私自身もうれしいですね」

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント