桑田真澄のコーチとしての指導力 経験を生かして新たな自分を作り上げる
今季から慣れ親しんだ巨人のユニホームにそでを通した桑田真澄。自身が培ってきた経験や技術を後進に惜しげもなく伝えている 【写真は共同】
13年ぶりの現場復帰、15年ぶりのユニホーム
「ちょっと話があるから、と。周りには泣いていた方もいて、本人も寂しそうではありましたけど、引退するという話をしてからはスッキリした顔をしていましたね。普段から優しい方ですけど、やっぱり選手時代は緊張感を保っていましたし、ピリピリしていた部分もあったと思います。そういう意味では、引退してからすごく柔らかくなったと感じます」
そこから13年が経した21年1月12日、52歳となった桑田氏は、巨人の一軍投手チーフコーチ補佐として現場復帰を果たした。巨人のユニホームに袖を通すのは15年ぶりのことだった。
「本人も、そして家族のみなさんも、すごくうれしかったと思います。今まではいろいろとタイミング的なものもあって現場からは離れていましたけど、やっぱり野球が生きがいの人ですから」
コーチとしていろいろなことが求められる
指導者に求められる役割は選手時代とは異なる。桑田氏はどのような指導者になっていくのだろうか 【写真は共同】
「野球に対する知識も情熱もあって、すごくいい指導者になれると思いますけど、コーチという職業はいろいろなことが求められると思いますので……」
プロ野球は他とは一線を画した特殊な世界ではあるが、世間一般の会社と同じく「組織」であることに変わりはなく、コーチには「上(監督)」と「下(選手)」の間を取り持つ中間管理職としての能力も必要になる。スター選手、特にマウンドの上では一人で戦うことになるエース投手は、いわゆる「一匹狼」の場合が多い。桑田氏も例に漏れず、現役時代は「自分」を貫きながら一人で生きてきたタイプだ。
「巨人のユニホームを着たのも15年ぶりですからね。スタッフや記者の方も含めて現場に知っている人も少なくて、桑田さん自身も不安はあったと思います。でも、今の生き生きとしている様子を見ると、私自身もうれしいですね」