桑田真澄&Mattの“テレビ初共演”が実現 旧知の担当プロデューサーに聞く親子関係
お互いが好きなことを続けている
2006年に巨人を退団後、単身渡米した桑田氏。07年度はパイレーツプレーし、最後まで愛する野球と向き合った。 【Getty Images】
「ホント、お互いが自分の好きなことをしているという印象ですね。父は野球界、息子は芸能界。土俵は違いますけど、好きなことをとことん突き詰めるという部分では同じだと思いますし、つながっているんだなと感じています」
たとえ親子の関係でも、相手に敬意を払い、理解する努力を怠らない。まずは自分の知らない世界に対する好奇心を失わないこと。田中氏は「桑田さんがMattにいろいろと聞いているシーンはよく見ますけど、やっていることに対して必要以上に詮索することないですし、好きでやっていることに反対はしない」と明かし、「親子喧嘩(げんか)は見たことがない」と語る。
「反抗期もほぼなかったと思います。桑田さんがMattに注意することはありますけど、頭ごなしに怒鳴るようなことは絶対になくて、Mattも父親に反発することなく素直に聞いている。喧嘩ではなくて、話し合っている感じ。お互いがお互いの話をよく聞いているという印象ですね」
“親子テレビ初共演”に込められた意味
幼い頃から芸能界に関心を示していたMatt。芯の強いところはやはり父親譲りだったという 【Getty Images】
「Mattが芸能界デビューしたとき、家族の中で父親と息子は一緒にはテレビに出ないと決めていたようですし、Matt自身も自分一人の力で頑張りたいという気持ちが強かった。実際、私たちがツーショットをオファーしても断られました。でも今回、ツーショットでの親子共演が実現したというのは、父が息子を認めたということ。『同じ土俵に立っても大丈夫だ』と思ったからだなんだと思います。実際は『まぁ、いいんじゃない』っていう軽い気持ちで許してもらえたのかもしれませんけど(笑)、デビューしたときとはお互いの気持ちが変わったことは確かだと思います」
普段から家族そろって食卓を囲み、父が自宅で主催するワイン会には息子2人が必ず出席する。父は息子に「男たるもの30歳までには家を出なさい」と言い聞かせるが、息子Mattは「こんな幸せな家をわざわざ出ていく必要がない」と言い張る。父がゆっくりと話しかけ、息子が軽妙に返す。親子2人の会話は、実に自然だ。
「Mattが芸能界を志した頃は、桑田さんが社会人としての心得を説いたりしていましたけど、テレビに多く出て活躍するようになってからは逆に桑田さんがMattにいろいろと聞いていることが多い。父親ではありますが、息子から学んでいることも多いのだと思います」
昭和から平成にかけて日本球界の中心を走り抜けた男、桑田真澄は、令和の時代となって新たに巨人軍のコーチとしての道を見つけ、後進の育成に当たる。そこには自らが現役時代に培った技術と経験、引退後に増やした知識、そして息子Mattと接する中で育んだが父親としての知見と包容力がある。
<後編に続く(9月15日掲載予定)>
長年TBSの野球班として活躍。TBSスパークル所属
TBS『バース・デイ』
<放送日時> ※関東ローカル
9月11日(土)夕方5:00〜 前編
9月18日(土)夕方5:00〜 後編