「チーム」と「事業」は球団の両輪 ロッテ河合球団社長の描くビジョン
現場とフロントの理念は完全に一致している
目指すは常勝軍団。そのためビジョンは球団に関わる全ての人が共有できるものだと河合氏は話す 【写真:長谷川拓司】
河合 そうです。我々の使命は「勝ち続けること」を通じて、世の中の人たちに誇りを持っていただく。そんな球団になること、あり続けることなんです。そのためには当然、きちんと分析をして補強をしなければいけない。それができれば、必ずお客さんは来てくれる。ワクワク、ドキドキする試合を見せられればお客さんは来てくれると信じています。
――ますます、現場を預かる井口監督との密なるコミュニケーションが重要となりますね。
河合 従来までは「勘と経験」で勝負するというのが常識でした。しかし、メジャー経験のある井口監督は、データを基に戦略を立てていくということをきちんと理解されている監督です。経営上の課題をすべて監督に理解していただく必要はないけれど、「強いチームを作る」という理念は完全に一致しています。そこには何のズレもありません。
――中長期的なビジョンを持ちつつ、同時に目の前の今季の戦いも続いていきます。この辺りのバランスをどうとるのか、難しい課題だと思います。
河合 今までならば「5割を目指せばいい」とか「3位以内に入ってクライマックスシリーズを目指そう」と考えがちでした。でも、今年のキャンプインの最初に言ったのは「そんな考え方は一切捨ててくれ」ということでした。選手一人一人が厳しく自らを律していく。ファンの人たちの期待に応えられないようなプレーではダメなんです。
――オーナー代行兼球団社長と監督。そして、球団スタッフとファン。それぞれが共有できる理念を持つことで、「常勝軍団を作る」という目的がより近づく。そんな考えであることはよく理解できました。
河合 現在、社員と共有するためのブランドブックを作っています。理念を作った際の社員の声を入れ込むことで、改めて自分たちのリマインドになって、「他人事」ではなく「自分事」化していくためです。ブランドブックは社員、選手に渡して、家に持って帰ってもらって、家族に誇らしく見せられるようなものを目指して作っています。
【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
ブランドブックの一部。球団職員の声、監督・選手の鼎談を含む「Team Voice」やスローガンの紹介、球団の歴史などが盛り込まれるとのこと 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】