バド渡辺/東野組、世界2位撃破の底力 準決勝で中国2強の一角崩しへ
ガッツポースする渡辺勇大(左)、東野有紗 【写真は共同】
不利な“風下”で見せた異なる対応策
選手の話によれば、コート内では縦風を感じるという。渡辺/東野が最初に入ったコートは、いわゆる風下。渡辺は「思い切り、我慢だった」と振り返った。相手は、女子のサプシリーが身長169センチと長身で、リーチの長さを生かした素早いタッチで返球。相手の対応が遅れると、男子のデチャポンが強烈なスマッシュをたたき込んでくる。渡辺がどうにか空いているスペースに返球しようとしたが、狙い過ぎてミスになるなど失点が続いた。それでも終盤には東野が機動力を生かしてネット前で左右に走って相手のペースに食らいつき、少しずつスコアをばん回。15-21でゲームを落としたが、粘りを見せた。
第2ゲームは「風上」に立ち、渡辺が明らかにスピードアップ。素早いフットワークで早めにシャトルの落下点に入り、終始、リードする展開。東野も、女子では珍しい両足跳びのジャンピングスマッシュを打ち込むなど攻勢で21-16と押し切った。
女子では珍しい両足跳びのジャンピングスマッシュを打ち込む東野(左) 【写真は共同】
「1ゲーム目を取られた方のコートだったので、相手に少しでもプレッシャーがかかるかなという意味で、11点目を先に取ることが大事でした。この1点を取れたので、後半リードからスタートで、気持ち的にも少し楽になりますし、のびのびと3ゲーム目の後半をできていたので、分岐点と言えば、そこがポイントだったのかもしれないです」
苦境を切り抜けると、ファイナルゲーム後半は、渡辺がフェイントを警戒している相手ペアの間をノータッチで射貫く強打をたたき込むなどペースアップ。21-14で押し切り、準決勝進出を決めた。
頭1つ強い中国の2ペア
準決勝では世界ランク3位の王イ律/黄東ピン(中国)と対戦する。過去の対戦成績は、1勝9敗。厳しい戦いになることは、覚悟しなければならない。彼らより先に試合を行ったため、勝利した時点では準決勝の相手が決まっていなかったが、渡辺は「今のゲームのように、泥臭く。何でもいいから、勝てるゲームをやりたいなと思っています」と食らいつく構えを示した。
2度目の金星を挙げれば銀メダル以上が確定。敗れても3位決定戦で、この種目で日本勢初となるメダル獲得に挑戦できる。そういう意味でも、今日の1勝は大きい。渡辺/東野が世界の頂点を見据える立場に立ったのは、2018年の全英オープン。春の世界一決定戦で中国ペアを破って初優勝を飾った。東京で、もう一度世界を驚かせられるか。29日の準決勝で中国2強の一角崩しに挑戦する。
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