優勝してよかったこと、勝てた要因は? 大野忍と鮫島彩が振り返る11年ドイツW杯
2011年ドイツW杯での優勝は、その後の彼女たちにどんな影響を与えたのか 【写真:アフロスポーツ】
それまで日の目を見ることのなかった女子サッカーはW杯優勝を機に、一気に注目を集め、メディアの報道も過熱。11年8月にはなでしこジャパンが国民栄誉賞を受賞するほど一大ブームとなった。だが、一方で過度に視線を集めることはストレスにも繋がっていただろう。一利一害ではないが、良いことも悪いことも様々あったに違いない。
――W杯で優勝し、いちばんよかったことは何ですか?
大野 いちばんよかったのは、最初(前編の冒頭)にも言ったけど、やっぱり指導者として評価してもらえることかな。正直、現役時代はあまり感じていなかったけど、セカンドキャリアを歩み出してから実感しているというか。
鮫島 そういえば、前に代表で一緒になった20歳くらいの選手がこんなことを言ってきたの。「すっごい感動しました。‟闘う”ってこういうことなんだと思いました」って。最近(ドイツW杯の)アメリカとの決勝の映像を見たらしいんだけど、そんな風に思ってくれるなんてうれしいなって。
大野 すごいじゃん。でも、10年ってそういうものなのかもね。ウチも、ここに来る前はINAC東京(東京で活動するINAC神戸の下部組織)のコーチで中高生にサッカーを教えていたんだけど、その子たちはなでしこのドイツW杯優勝をリアルタイムでは知らない。でも、みんなでビデオを見る機会があったら、そこからのリスペクトがハンパなかった(笑)。
鮫島 それもすごい。
大野 だから、あの試合を知らない選手には(ビデオを)見て欲しいし、今サメちゃんとプレーできている選手は、すごいプラスだと思う。いろんなものを吸収できるはずだから。ウチはもうやめた身なんで。
鮫島 そういうプレッシャーはかけないで!(苦笑)。
大野 いや、伝えられることはたくさんあると思うから。ぶっちー(岩渕真奈)もそうだし、ほかにもまだ現役の選手はいる。彼女たちの存在は、絶対に今の選手の力になると思う。
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批判も期待の裏返し!?
大野忍(写真左)「1度優勝したことで、変に結果を求められたことはあった。でも、日本代表なんだから、それは当たり前」 【栗原正夫】
大野 それは、人それぞれじゃない?
鮫島 大変といえば、大変だったかもしれない。ただ環境は以前よりよくなったわけだし、それは取るに足らないことだったというか。もちろん、メディアや周りからいろんな声が入ってくるようになり、たまには批判を受けることもあったけど(苦笑)。
大野 1度優勝したことで、変に結果を求められたことはあった。でも、日本代表なんだから、それは当たり前。もちろん、自分たちはドイツW杯のあとも、12年ロンドン五輪で銀メダル、15年カナダW杯で準優勝と頑張って結果を出してきたのにという思いもあったけど…。
鮫島 でも、さすがに16年に(大阪開催だった)リオ五輪のアジア予選で敗退したときは、すごかった……。
大野 そうだっけ? ウチは覚えてない。記憶を消去したのかも(苦笑)。
鮫島 負け始めてスポーツ紙の報道が変わったというか、予選敗退が決まったときのスタジアム(長居球技場)の光景は、忘れられない。たくさんのフラッシュがたかれ、いろんな声が飛んできた中、みんなでサポーターの方々の前に挨拶に行って……。
大野 期待に応えられなかったからね。それまでは結果が出なくても叩かれることなんてなかった。それだけ、女子サッカーに期待してくれていたということじゃないかな。期待の裏返しだよ。
鮫島 そうだね。19年のフランスW杯は寂しかったもん。(決勝トーナメントの1回戦、ベスト16で敗退し)いつ、どこに負けたかってこともたぶんみんな知らないと思うし。代表が結果を残さないと、どんどん女子サッカーへの関心が薄れていってしまう。
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