なでしこジャパンのW杯優勝から10年 当時の指揮官、佐々木則夫氏が今思うこと
個性ある選手たちが存分に力を発揮できた裏に、佐々木則夫氏の高い手腕があったことは間違いない 【栗原正夫】
個性ある選手たちが存分に力を発揮できた裏に、佐々木氏の高い手腕があったことは間違いない。
同年にFIFA女子年間最優秀監督にも選ばれた佐々木氏は、その後もなでしこジャパンを率い12年ロンドン五輪で銀メダル、15年カナダW杯準優勝と世界大会で3度連続決勝に進出するなど黄金期を築いた。
世界一の瞬間をベンチで笑って見届けた指揮官にとって、10年前のW杯優勝という事実はどのように記憶されているだろうか。
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優勝は一戦一戦成長しながら戦った結果
佐々木則夫氏「アメリカとの決勝戦で澤(穂希)が決めた土壇場での同点ゴール、熊谷(紗希)が目に涙を浮かべながら最後のPKを決めたシーンなど、どの瞬間も僕の目に焼き付いています」 【写真:アフロ】
それはもう素晴らしい思い出として僕のなかに残っています。遡れば08年北京五輪でベスト4に進出し、アメリカ(準決勝)やドイツ(3位決定戦)などの強豪国と真剣勝負をしたなか、決して恵まれた体格ではない日本の女子選手でも戦い方次第で世界と勝負できると手応えを感じて臨んだドイツW杯でした。
北京五輪では4強に進出したチームのなか唯一メダルを取れずに悔しい思いをしましたが、ドイツW杯では優勝を目標にして、選手がそこに向かって一歩一歩成長してくれました。アメリカとの決勝戦で澤(穂希)が決めた土壇場での同点ゴール、熊谷(紗希)が目に涙を浮かべながら最後のPKを決めたシーンなど、どの瞬間も僕の目に焼き付いています。
――北京五輪でベスト4に進んだとはいえ、大会前になでしこジャパンの優勝を予想する声はほとんどなかったですし、準々決勝で開催国のドイツ、決勝で王者アメリカをPK戦ながら下した、その戦いぶりはミラクルといえました。優勝の要因については、どう考えていますか。
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