連載:なでしこジャパン、世界一から10年目の真実

なでしこジャパンのW杯優勝から10年 当時の指揮官、佐々木則夫氏が今思うこと

栗原正夫
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個性ある選手たちが存分に力を発揮できた裏に、佐々木則夫氏の高い手腕があったことは間違いない 【栗原正夫】

 2011年サッカー女子W杯ドイツ大会で、なでしこジャパンを世界一に導いたのが、選手から「ノリさん」の愛称で慕われ、上からでも下からでもなく「横から目線」でさまざまなパーソナリティを持った女子選手たちを見事にまとめ上げた佐々木則夫監督(当時)だった。

 個性ある選手たちが存分に力を発揮できた裏に、佐々木氏の高い手腕があったことは間違いない。

 同年にFIFA女子年間最優秀監督にも選ばれた佐々木氏は、その後もなでしこジャパンを率い12年ロンドン五輪で銀メダル、15年カナダW杯準優勝と世界大会で3度連続決勝に進出するなど黄金期を築いた。

 世界一の瞬間をベンチで笑って見届けた指揮官にとって、10年前のW杯優勝という事実はどのように記憶されているだろうか。

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優勝は一戦一戦成長しながら戦った結果

佐々木則夫氏「アメリカとの決勝戦で澤(穂希)が決めた土壇場での同点ゴール、熊谷(紗希)が目に涙を浮かべながら最後のPKを決めたシーンなど、どの瞬間も僕の目に焼き付いています」 【写真:アフロ】

――早いもので、なでしこジャパンが2011年ドイツW杯で優勝してから10年になります。振り返ると、どんな思いがありますか。

 それはもう素晴らしい思い出として僕のなかに残っています。遡れば08年北京五輪でベスト4に進出し、アメリカ(準決勝)やドイツ(3位決定戦)などの強豪国と真剣勝負をしたなか、決して恵まれた体格ではない日本の女子選手でも戦い方次第で世界と勝負できると手応えを感じて臨んだドイツW杯でした。

 北京五輪では4強に進出したチームのなか唯一メダルを取れずに悔しい思いをしましたが、ドイツW杯では優勝を目標にして、選手がそこに向かって一歩一歩成長してくれました。アメリカとの決勝戦で澤(穂希)が決めた土壇場での同点ゴール、熊谷(紗希)が目に涙を浮かべながら最後のPKを決めたシーンなど、どの瞬間も僕の目に焼き付いています。

――北京五輪でベスト4に進んだとはいえ、大会前になでしこジャパンの優勝を予想する声はほとんどなかったですし、準々決勝で開催国のドイツ、決勝で王者アメリカをPK戦ながら下した、その戦いぶりはミラクルといえました。優勝の要因については、どう考えていますか。
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著者プロフィール

1974年生まれ。大学卒業後、映像、ITメディアでスポーツにかかわり、フリーランスに。サッカーほか、国内外問わずスポーツ関連のインタビューやレポート記事を週刊誌、スポーツ誌、WEBなどに寄稿。サッカーW杯は98年から、欧州選手権は2000年から、夏季五輪は04年から、すべて現地観戦、取材。これまでに約60カ国を取材で訪問している

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