J最強フロンターレはACLをどう戦うのか 中村憲剛が挙げたポイント、キーマンは?
アジアのタイトルはクラブの悲願。中村氏は「歴史を作ってほしい」とかつてのチームメートにエールを送る 【YOJI-GEN】
ミキ、レオ、カオル、アオらが堂々と
成績自体は盤石ですが、試合が重なるにつれて分析も進み、勝ち切ってはいても苦しい試合が多くなってきたなという印象です。ここまでは文句なしですが、この先、夏場になってどうなるか。一度対戦したチームが、次の試合でフロンターレ相手にどれくらい勇気を持ってやれるかが楽しみです。
シーズン序盤は90分間押し切れる試合もありましたけど、途中から主導権を奪われてギリギリで逃げ切るような試合が増えてきている。そういう意味では、相手の対策は進んでいるのかなという印象を受けています。
――昨年からの変化は、どんなところに感じていますか?
より「速く」なりましたね。そこは感じています。
――縦に速いというか、攻撃の完結スピードが速いといった感じでしょうか?
走れる選手も増えましたし、若い選手も増えています。ただ、速いぶんミスも増えている。悪いことではないですが、チャレンジのミスが増えていて、アグレッシブ過ぎることで後半になるとそのツケを払うというか、体力的に落ちてくるイメージがあります。
もう少しペースを落として、相手の出方を見ながらボールを握る時間があってもいいのかなと。特に後半、相手が巻き返そうとしたときに、いなすようにボールを動かし、相手が前がかりになってきたところを仕留めに行くといったプレーがもう少し欲しいかなと思っています。
――今季のフロンターレは、自信の深まりを感じます。
昨年、1年間かけて4-3-3をみんなで突き詰めて、しっかりと結果を残したことによる自信が、特に若い選手や加入1、2年目の選手にあるなと思います。それがプレーに反映されていて、昨年以上に相手を凌駕(りょうが)する試合もあります。
ミキ(山根視来)やレオ(旗手怜央)、カオル(三笘薫)、アオ(田中碧)らがすごく堂々とプレーしている。結局、いま挙げた選手たちがみんな代表組ですから、相乗効果でチームもうまくいっているのかなと思います。
最も悔しいのは2017年の浦和レッズ戦
09年には名古屋と、17年には浦和(写真)といずれも準々決勝で対戦して敗戦。Jリーグのチームに準決勝進出を阻まれる悔しさがあったという 【Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images】
個人的には唯一獲れなかったタイトルで、悔しい思いばかりをしている大会ですね。痛い思いもしました。Jリーグとはまったく別の戦いで、本当に未知の戦いというか、先に進むのが簡単ではない大会だと思います。
――憲剛さんの中で印象に残っている大会はありますか?
どれもすごくインパクトがあって選ぶのが難しいですが、個人的には2017年に浦和レッズに負けた試合が一番悔しさが残っています。その後に浦和が優勝したことを考えると、自分たちが行けたのではないかという気持ちがすごく残りました。
ファーストレグを良い形で勝って、セカンドレグで先制したけど、こちらに退場者が出て……。そこで自分が交代して、そのあとチームが失点を重ねていくのを外から見るしかなかったという悔しさ、つらさ。そこの喪失感は大きかったですね。2009年も名古屋グランパスに敗れていて、アジアの大会なのにJリーグのチームに止められる悔しさはありました。
――ACLは環境への対応も難しいイメージです。
僕が参加していたときは、コロナ禍ではなかったのでレギュレーションが今回とは違いますが、Jリーグと並行して戦う難しさはありました。J開幕前から始まる過密日程に加えて移動もあり、気候や文化、食事にもアジャストしないといけない。本当にタフさが求められる大会です。ピッチ内の強度だけではなく、ピッチ外のところにアジャストするメンタル的な頭のタフさが求められる大会だと思います。
――一方でACLの面白さはどんなところに感じますか?
クラブ単位でいろいろな国や地域に行けるのがいいですね。基本的には代表戦でしか海外遠征には行かないので、普段一緒にいるクラブのチームメートと行くと、団結がより深まります(笑)。みんなでバスや飛行機に乗って、現地に着いてもずっと一緒。しかも異国でみんなと一緒にいるのはすごく楽しかった記憶があります。