世界一から10年、川澄奈穂美が語る米国でのプレー、なでしこ、将来のこと
川澄(中央)は35歳となった現在もアメリカ女子サッカープロリーグでプレーを続けている 【写真:本人提供】
NWSLの試合は日本にいても動画配信アプリなどでライブ視聴が可能だが、実況者は川澄を紹介するたびに、敬意をこめて「W杯優勝経験者」であることを付け加えるのを忘れない。
だからだろうか、自分から話すことも聞かれることもほとんどないというが、スタッフや関係者はもちろん、年の離れたチームメイトや小中高生のファンまでが、川澄が成し遂げてきたことを理解し、リスペクトしてくれる。その感覚は、日本にいたときとは少し違う。
「なでしこジャパンがW杯で優勝したのは、10年前のこと。みなさんの記憶から消えているとは思いませんが、時が立てば(記憶は)薄れていくじゃないですか。日本でもW杯優勝の直後は一時的にすごく注目されているのを感じました。でも、ブームが去った日本からアメリカに来てみて、こっちでは女子サッカーがブームではないんだと気づかされたというか。ここ数年は女子サッカーW杯最多優勝国でプレーしている中で、W杯で優勝したことがどれだけ価値あるものかということを改めて感じさせられています」
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W杯優勝から10年経ったいま思うこと
優勝して一番うれしかったことは何かと聞けば、川澄は「優勝そのもの」だと即答した 【Photo by Mike Lawrence/ISI Photos/Getty Images】
ドイツW杯での優勝から10年が経ち、その決勝で下したアメリカで暮らすことでW杯を制したことの重みを感じている様子は、どこか皮肉めいているが、川澄はすべてを受け入れて今もボールを追い続けている。
優勝して一番うれしかったことは何かと聞けば、川澄は「優勝そのもの」だと即答した。楽しいことばかりではなかったが、仲間と切磋琢磨し、ときには衝突しながらも取り組んだ過程や優勝という事実が残っていることが何より、だという。
それだけに日本では、当時のなでしこジャパンがそれまで不遇だった女子サッカーをメジャーにしようと奮闘し、結果を残しながらも、思うような発展につながらなかった状況には寂しさを感じているかもしれない。
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