井上尚弥とダスマリナスを知る“2人の木村” 挑戦者のパンチは「独特のタイミング」
井上尚弥「まずは、ダスマリナス(写真右)の一発に気をつけながら崩していくこと。攻め急がずに、ゆっくりと、ゆっくりと、調理しようかなと思っています」 【Gettyimages】
海外のオッズは井上の圧倒的有利と出ている。ダスマリナスに世界的強豪との対戦経験がないこと、“モンスター”への大きな評価と期待が予想を後押ししたのだろう。
「まずは、ダスマリナスの一発に気をつけながら崩していくこと。攻め急がずに、ゆっくりと、ゆっくりと、調理しようかなと思っています。しっかり組み立てれば、いつかは捕まえることができる相手だと思っているので」
昨年10月、ラスベガスでジェイソン・マロニー(オーストラリア)を7回KOで下した時は無観客開催。今回は有観客で行われる。予想通り、“モンスター”が圧倒的な強さで本場のファンを痺れさせるのか。2019年3月、IBF4位として同3位のケニー・デメシーリョとの同胞対決を制し、挑戦権をつかんでから2年。ずっと、この日を待ちわびてきたはずのサウスポーにはチャンスはないのか――。
試合の展望、見どころを探るため、“2人の木村”に話を聞かせてもらった。
井上戦について、“2人の木村”に話を聞いた
日本人ボクサーで唯一、ダスマリナスと対戦経験がある木村隼人さん(写真左)と井上尚弥のスパーリングパートナーのひとりに指名された木村蓮太朗選手(写真右)に話を聞かせてもらった 【船橋真二郎】
対戦したのは7年前、2014年7月の後楽園ホール。2回に左アッパーでダウンを奪われ、判定負けを喫した。「パンチのタイミングが独特。微妙にズレて来る」という木村隼人さんは「不利は不利ですが、言われているほど可能性が低いとは思っていないです」と、ダスマリナスの“一縷(いちる)の勝機”にも言及した。
もうひとりは木村蓮太朗(駿河男児)。まだプロ4戦(4勝3KO)ながら、静岡・飛龍高校、東洋大学で88戦72勝26KO16敗のアマチュアキャリアがあり、大学1年時にバンタム級で全日本選手権優勝1度、大学2年時、4年時にはライト級で国体優勝2度の実績を残した。静岡のジムから「静岡県初の世界チャンピオン」を掲げ、将来を嘱望されるフェザー級の大型ルーキーである。
木村蓮太朗は今回、井上のスパーリングパートナーのひとりに指名され、合計36ラウンドにわたり拳を交えた。そのうち8ラウンドの通しが2度という。これまで井上の一方的な展開になり、予定ラウンド数の途中で切りあげた、という証言ならいくつもあったが、ひとりで8ラウンドを務めきった例は聞いたことがない(5年前、井上は試合前のオーバーワークを要因とする腰痛を起こしてから、スパーリングは1度に4ラウンド程度までに押さえてきたこともあるが)。
井上がもうひとつポイントに挙げていたのが、ダスマリナスが長身のサウスポーであること。過去にプロで井上が対戦したサウスポーは2人。オマール・ナルバエス(アルゼンチン)は身長159センチ、ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)が井上とほぼ同身長の165センチ。それぞれ2ラウンド、1ラウンドで倒し、圧勝している。
ダスマリナスは公称170センチとされているが、「僕は169.7センチ(笑)」という木村隼人さんによると「自分より少し高かった」そうだから、実際には170センチ以上あることになる。一般にオーソドックス(右構え)はサウスポーと対峙(たいじ)した時、遠く感じるとされる。ダスマリナスは手足も長い。井上はどう戦うのか。
まずは身長174センチのサウスポー、2階級上の木村蓮太朗の話に耳を傾けよう。大学時代はさらに上のライト級だった木村蓮太朗から見れば、井上は想像以上に小柄だったが、パワー、スピードともに想像を超えていたという。
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